A.はじめに
大日向鉱山での調査を終え,東南東約 3km,抜井川に流れ込む都沢上流に位置
していた都沢鉱山を目指す.都沢鉱山は銅を試掘した鉱山らしく,藤本(1958),
長野県地学会(1962)にその名が見られる.大型のサーラ輝石(灰鉄輝石と透輝
石の中間的な組成のもの;野外名),水晶などが見られるという.しかし,今回
の調査では,沢のかなり上部まで詰めたものの,坑道,鉱石はおろかスカルンら
しきものは全く見当たらなかった.
B.産地及び交通
<産地>
都沢鉱山は佐久穂町古谷都沢にあるスカルン? 鉱床である.
<交通>
最寄駅:小海線海瀬駅 バスあり
C.採集鉱物
沢を遡上中に石灰岩塊を幾つか見たのみであった.金属鉱物,脈石鉱物ともに発
見できず.蛇紋岩だけは転石・露頭に大量に存在していた.
D.おわりに
全くのハズレ探査であった都沢鉱山であるが,筆者は文献の記載に疑問を持って
いる.藤本(1958)では古生層石灰岩への蛇紋岩の迸入による接触鉱床であるとし
ているが,果たしてそのようなマフィックな岩石の貫入によって,石英のような鉱
物が生成しえるであろうか.蛇紋岩はカンラン岩が変質して出来る岩石である.そ
してカンラン石は石英とは直接共存しないというのが普通である.どうもこの記載
には誤りがあるように感じられた.一方,長野地学会(1962)ではニッケルの産出
を記載している.ニッケル,クロムなどの金属は蛇紋岩などの超マフィック岩に産
するものが多いので,こちらの記載はより現実的である.以上のような疑問点から
苦しい推論を挙げるならば,都沢鉱山は西側数kmの茂来山周辺に分布する新第三紀?
の花こう岩類に関連した熱水や脈岩からスカルン化を受けたものであり,蛇紋岩は
これよりも古い年代から存在していた,と言ったものである.実際のところ現地を
見る所までも至っていないので,この仮説には何の根拠もないものである.都沢鉱
山に関する詳しい情報をご存知の方が在ったら是非御教示頂きたいと思います.
仕方がないので調査風景だけでも写真を載せておくこととします.
| 図1 都沢の表示 | 図2 都沢入り口 | 図3 蛇紋岩の露頭 |