A.はじめに
長野県東部の南佐久郡には多くの鉱物産地があり採集には最適の地域である.
今回,南佐久郡のいくつかの鉱物産地で巡検を行い,まず最初に佐久穂町の大
日向鉱山を訪れた.この産地を訪れるのは実に4年ぶりであるが,ネットなど
で加熱するような鉱物は出ないからなのか,余り様子は変わっていないようで,
典型的なスカルン型磁鉄鉱鉱石は相変わらず大量にあった.
また地質学とは全く関係ないところで新たな発見があった.それはコウモリ
である.坑道内部に信じられないくらい大量のコウモリがいた.既に冬眠状態
なのか指でつついても動く様子はない.コウモリは冬眠状態の時にはかなり生
命活動が低下しているとどこかで聞いたことがあるような気がするが,まさか
これほどとは思っていなかった.もしかしてこれだけの数の越冬地となると実
は貴重なものなのかも知れない.
B.産地及び交通
<産地>
大日向鉱山は長野県南佐久郡佐久穂町(旧 佐久町)大日向霧久保沢の上流
にある.高品位の鉄鉱石を産出し,戦中には特に盛んに採掘されたようである.
霧久保沢沿いの林道入口近くの採石場には花崗岩の貫入が見られ,鉱床はこの
花崗岩体の貫入によって生成されたスカルン鉱床であると考えられる.
鉱山には多くの旧坑が残されており,林道から一番近い坑道内に入ったが,
その奥行きは相当なもののようで,最低でも50 m以上は続いている様子であっ
た.また上部には大規模な露天掘り? の跡があり,多量の鉱石が残されていた.
また斜面にもあちこちに鉱石が転がっていた.ただ,ズリは落葉に覆われてや
や探しにくかった.
<交通>
最寄駅:JR小海線 海瀬駅
C.採集鉱物
硫化鉱物1種,酸化鉱物1種を採集した.
硫化鉱物
1.黄鉄鉱 pyrite
磁鉄鉱と共生する塊状〜皮膜状結晶.金属光沢.
酸化鉱物
2.磁鉄鉱 magnetite
黄鉄鉱を伴う塊状の鉱石.強い磁性を持つ.特に当産地の磁鉄鉱は強い磁力
をもつことで有名であり,天然磁石といえるものが産出することで知られる.
また数mm大の八面体自形結晶の集合体も時折観察することが出来る.
D.おわりに
4 年前来た時と様子は殆ど何も変わっておらず,まだ元気に希望に満ちて山
を駆け巡っていた頃が思い出される.あの頃は何を見ても新鮮だったな,また
そんな気持ちで山を歩きたいなと思う.最近は時間がなくて採集にも行けず,
HPの更新も滞っているし・・・ 夏休みが待ち遠しい.
| 図1 鉱山設備 | 図2 露天掘り跡 | 図3 坑内のコウモリ |
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