A.はじめに
山梨県の金峰山を中心とする水晶産地の一つに北杜市(旧須玉町)小尾八幡山が
ある.八幡山では透明度の高いものは多くはないものの大型の水晶が比較的容易に
得られることで有名である.
今回友人4人と共に八幡山を訪れてみた結果を報告する.
B.産地及び交通
<産地>
八幡山は金峰山南西の八幡山(標高およそ2000m)の尾根近くにあり,かつては水晶
鉱山として稼行されていました.花崗岩中の石英脈晶洞中の水晶を採掘していました.
大型の水晶が産出した産地で,例えば益富(1974)には黒平集落の方と一緒に氏が八
幡山産大水晶と写った写真があり,目算だがこの大水晶は高さ60cm以上はあると思わ
れます.
八幡山は,増富温泉街を抜けて,増富鉱山前の分岐を右(木賊峠方面)に進むと,
枇杷窪沢沿いの林道入口に着きます.ここから,車止めのゲートを通過して,
沢沿いに進んでいく.途中巨大な砂防ダムがあり,その先の道の右手の沢に入る踏み
分け道に入ります.石碑のある沢沿い(踏分け道あり)に進み,
30分ほどで,左手にある大きなズリに到着です.この更に上流にもう一つの水晶坑が
ありますが,道が危険な割には水晶の質に大差が無いので割愛します.しかし,今回
紹介する方の水晶坑は道も良く,危険な所も特にないので,採集しやすいでしょう.
ただ,増富温泉からは相当に距離があり,自動車利用の方が良いでしょう.
今回,訪れたのは3月の末で,関東はもう春の盛りの様相を見せていた.しかし,山
はまだ冬だった.林道入り口のはるか手前にゲートがあり,とぼとぼと入り口まで歩い
た.そして林道にようやくたどり着いた我々の目の前には雪に覆われた林道が伸びて
いた.しかし今更引き返すのも勿体ない気がして様子見に行けるところまで行ってみよ
うということになる.次第に深くなる雪に悪戦苦闘しながらようやく産地近傍に付いた頃
には皆凍えきってしまった.伐採された木に足をとられ,ズリは勿論,地面も見えない.
仕方がないので,沢の凍ってない水の中からいくつか擦れた水晶を拾い上げたものの,
この寒さは如何ともし難く敢え無く撤退することになった.5人の中には濡れたズボンが
凍るのまで出てきたので実に悲惨な撤退劇となった.
もう少し遅く来ていればと後悔した一日だった.
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| 図1 ゲート | 図2 沢の入り口 | 図3 雪は深まる一方 |
今回は川流れの水晶(珪酸鉱物)のみ.他の鉱物としては水晶中の内包物の角閃石
(珪酸塩鉱物)や石英脈に伴うセリサイト(雲母の一種)をかつて採集した.
珪酸鉱物
1.水晶 Rock crystal
成分は二酸化ケイ素.八幡山の鉱山稼行時には花崗岩中の石英脈晶洞中の水晶を採掘していた.
当産地の水晶の特徴はサイズが大きめであること,表面がすりガラス状になるものが
多いこと,包有物として角閃石綿を含むことなどがあります.また表面をセリサイト
が覆うこともしばしばです.
またこの産地には表面がスリガラス状の水晶が多い理由としては,水晶を晶出する
珪酸溶液は,一度だけでなく
何度も入ってきて,その度に表面が溶かされる.すると再び結晶面が発達できなかっ
た部分は溶かされたままの状態になるのですりガラス状になるためというものです.
当産地の水晶にはいろいろな形態を示す水晶が見つかっており,曲がり水晶,
平板水晶,平行連晶,松茸水晶のほかにも変わった形の水晶
が見つかると思います.また,包有物としては,角閃石綿の入った「綿入り水晶」が
あります.
D.おわりに
雪には勝てないということが分かった寒い一日でした.本当に皆さんお疲れ様でした・・・
E.参考文献
益富寿之助(1974):”鉱物”,(保育社)
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