62)地学会結成記念巡検 その6―栃木県足尾町久良沢鉱山2
Kyurasawa Mine,Ashio Town,Tochigi Pref..
A.はじめに
東沢鉱山での採集を終えて次の産地,栃木県足尾町の久良沢(きゅうらさわ)鉱山に
向かう.久良沢鉱山はマンガンを採掘していた古い鉱山で,鹿沼方面から足尾方面に抜
ける県道15号線沿いに位置している.この鉱山は希産鉱物マンガンパイロスマライトを
産したことで有名であり,また満バン柘榴石の結晶も産する.
B.産地及び交通
<産地>
先程書いたように,産地は鹿沼方面から足尾方面に抜ける県道15号線沿いに位置して
いて,「山神様」の祠のある反対側を流れる川を石伝いに渡ると,真っ黒なマンガン鉱
床ならではのズリ石が転がっている.ここから更に山のほうに進んでいくと,3つほど
坑道が口をあけている.鉱床はチャートなどに挟まれて走向はおよそ東西? で,傾斜
はほぼ垂直になっている.
<交通>
わたらせ渓谷鉄道 利用
C.採集鉱物
硫化鉱物1種,珪酸塩鉱物3種を採集した.
硫化鉱物
1.黄鉄鉱
バラ輝石などの鉱石中に強い金属光沢を持って点在する.足尾地域のマンガン鉱山に
は火成岩の貫入により熱変成を被ったものが数多く存在しており,多様な鉱物種を産す
る.
珪酸塩鉱物
2.バラ輝石
主要なマンガン鉱物の一種で,当産地では一番多い.ピンク色でへき開面が良く観察
出来ることもある.良く似た菱マンガン鉱とはへき開の方向や硬度,塩酸に対する反応
性などから簡単に区別出来る.しかし同じ珪酸塩鉱物のパイロクスマンガン石とは一般
に肉眼では区別し難い.低品位鉱なので,ズリに多く見られる.
3.マンガンパイロスマライト
化学組成(Mn,Fe)8 Si6 O15 (OH,Cl)10 の鉱物で,塩素の影響を受けて出来る(熱水
起源だろうか)鉱物である.塊状のものはバラ輝石と区別しにくいが,自形のものは六
角板状の結晶で,若干バラ輝石と光沢が違う(やや脂肪光沢に近い).
六方晶系に属し,へき開は一方向に完全.条痕色は白,硬度は4.5である.
4.満バン柘榴石
橙色の粒状結晶で産出.この産地では美しいものも産出することがあるらしく,透明
感のあるコロッとした結晶は小さくてもなかなか見応えのある標本である.
D.おわりに
この後,国道122号線を下り,桐生市内の駅で解散となった.素晴らしい! とまで言え
る標本は採集出来なかったが,天気にも恵まれ,良い一日を過ごせたと思う.
そういえば,久良沢の河原に鹿の骨(ほぼ全身)があった.車に撥ね飛ばされたのだろ
うか? よくフィールドに行くと動物を見るが,絶対轢きたくはないものです.
最後になりましたが,参加者の皆さんお疲れ様でした.運転手のSY,Do氏両名も遠いと
ころわざわざありがとうございました.
写真はいずれもYさんの撮影・提供です.今回の写真も追加予定です.