A.はじめに
東沢鉱山での採集を終えて次の産地,栃木県足尾町の久良沢(きゅうらさわ)鉱山に
向かう.久良沢鉱山はマンガンを採掘していた古い鉱山で,鹿沼方面から足尾方面に抜
ける県道15号線沿いに位置している.この鉱山は希産鉱物マンガンパイロスマライトを
産したことで有名で今回は変成した層状マンガン鉱床の様々な鉱物種を探査した.
B.産地及び交通
<産地>
先程書いたように,産地は鹿沼方面から足尾方面に抜ける県道15号線沿いに位置して
いて,「山神様」の祠のある反対側を流れる川を石伝いに渡ると,真っ黒なマンガン鉱
床ならではのズリ石が転がっている.ここから更に山のほうに進んでいくと,3つほど
坑道が口をあけている.鉱床はチャートなどに挟まれて走向はおよそ東西? で,傾斜
は垂直になっている.
<交通>
わたらせ渓谷鉄道 利用
C.採集鉱物
硫化鉱物1種,珪酸塩鉱物3種を採集した.
硫化鉱物
1.黄鉄鉱
バラ輝石などの鉱石中に強い金属光沢を持って点在する.
珪酸塩鉱物
2.バラ輝石
主要なマンガン鉱物の一種で,当産地では一番多い.ピンク色でへき開面が良く観察
出来ることもある.良く似た菱マンガン鉱とはへき開の方向や硬度,塩酸に対する反応
性などから簡単に区別出来る.しかし同じ珪酸塩鉱物のパイロクスマンガン石とは一般
に肉眼では区別できない.
3.マンガンパイロスマライト
化学組成(Mn,Fe)8 Si6 O15 (OH,Cl)10 の鉱物で,塩素の影響を受けて出来る鉱物で
ある.塊状のものはバラ輝石と区別しにくいが,自形のものは六角板状の結晶で,若干
バラ輝石と光沢が違う(やや脂肪光沢に近い).
六方晶系に属し,へき開は一方向に完全.条痕色は白,硬度は4.5である.
4.満バン柘榴石
橙色の粒状結晶で産出.この産地では美しいものも産出することがあるらしく,透明
感のあるコロッとした結晶は小さくてもなかなか見応えのある標本である.
D.おわりに
最近マンガン鉱山が多いような気がします.前ほど苦手意識がなくなったからでしょ
うか.マンガン鉱床はまだ分からないことが多そうなのでその成因やその後の変成作用
に就いて考えると面白そうです.
最後になりましたが今日一日運転してくださったYさんと,一緒に採集をしたNSさ
ん,SIさんにお礼申し上げます.
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| 図1 鉱山のズリ | 図2 採集の様子 |
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| 図3 山腹の旧坑 | 図4 バラ輝石 |