27)夏休み採集行 その3―茨城県七会村高取鉱山 Takatori Mine,
Nanakai Village,Ibaraki Pref. ―Mineral Collecting Trip in Summer
Vacation No.3.
A.はじめに
日光鉱山での採集を終えて,次に向かったのは茨城県高取鉱山である.当初の
予定では,栃木県板荷鉱山,唐沢鉱山を訪れる予定だったが,前日の台風の影響
で新しいズリ石が流れてきていることを期待して,急遽,高取鉱山への移動とな
ったのだ.途中食事をとって,昼過ぎ頃には高取鉱山に到着できた.
短時間での採集だったが,黄玉など数種の鉱物を採集できた.

図1 高取鉱山ズリ
図2 旧坑(いずれもY氏撮影・提供)
B.産地及び交通
<産地>
茨城県七会村塩子に位置する高取鉱山は日本を代表する気成鉱床の鉱山であり,
また日本有数のタングステン鉱山として近年まで採掘が行われていた.鉱山入口
の道路の前には「高取鉱山」と書いた小さな案内板があり,この表示にしたがっ
て進むと高取鉱山の事務所に到達する.現在,高取鉱山は下川鉱業鰍ェ坑道から
出る排水の処理を行っており,ズリ(図1)も綺麗に整地されている.事務所に
挨拶に行くと,若い社員の方がいて,採集の許可をもらうことが出来た.
かつてのズリに向かい,簡単に採集を行った.ズリは整地してあるので絶対に
崩さないように注意する.主に道の転石から鉱物を探すのが良いだろう.それか
ら,最後まで採掘を行っていた旧坑道(図2)を見学する.
中からは寒いくらいの風が吹き出していて,この日の暑さを忘れさせてくれた.
社員の方の話だと,今でも時々,点検のためにこの坑道に入るということである.
まだ鉱脈は尽きてはいないのだが,再び採掘される日は訪れるのであろうか.坑
道のほかにも,トロッコや重機,ベルトコンベヤー,選鉱場? などが残されて
おりかつての反映の面影を偲ばせるものである.
<交通>
最寄駅 JR常磐線 水戸駅 バス利用(60分)
C.採集鉱物
タングステン酸塩鉱物1種,珪酸鉱物1種,珪酸塩鉱物1種,計3種の鉱物が採
集できた.
タングステン酸塩鉱物
1.鉄マンガン重石 Wolframite
石英脈中柱状結晶として産する.黒色で強い金属光沢を持ち,へき開は明瞭.
比重は7.3と大きい.右図はかつて高取鉱山で産出した巨大な鉄マンガン重石.
珪酸鉱物
2.水晶 Rock crystal
長さ3.5cmほどの頭付きを採集した.透明度は低いが,それでもなかなか完全
な標本はない.鉱山事務所には,やはりかつての産出品があり,30cmはあろうか
という「六方石」が置かれていた.鉱山関係者はしばしば水晶のことをこう呼ぶ
のである.
珪酸鉱物
3.黄玉 Topaz
石英鉱脈中の水晶に伴って,頂部の完全な結晶が採集できた.しかしきわめて
小さく長辺が2o弱である.水晶に似るが,結晶の形と光沢の違いで判定できる.
頂部なので条線は観察できなかった.フッ素を含む,代表的な気成鉱床の鉱物の
一つ.
D.おわりに
急遽,訪れた高取鉱山だったが,目玉品の一つである,トパーズを始めとした
収穫があり,大変嬉しい.また下川鉱業鰍フ職員の方からは,鉱山が盛んに稼行
されていた頃の貴重な話を聞かせていただき,また採集を承諾してくださった.
この場を借りて深謝いたします.また,採集にいつものように私を誘ってくださ
り,一日案内をして下さったYさん御一家にも深く御礼申し上げます.
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