注意:雪入では岩石鉱物の採集は出来ません
A.はじめに
茨城県千代田町雪入は,草下(1982)にも紹介されている茨城県の有名鉱物
産地の一つである.当産地は日本で最初の燐酸塩ペグマタイト発見地です.そ
の経緯は草下(1982)が述べており,また産出した多数の燐酸塩鉱物について
は,松原・加藤(1980)が詳しく述べている.
しかし,当時稼行していた2つの採石場はいずれも採掘を止め,現在は,そ
の跡地に「雪入りふれあいの里」という施設が建てられており,かつての露天
掘りの切羽は廃止後20年が経ち,植林されたのか,勝手に生えたのか木々が綺
麗に青々と生い茂っています.そのため燐酸塩ペグマタイトは絶産となったよ
うです.しかし,現在でも多少のペグマタイト転石が残っていて,そこから,
何種類かの鉱物を観察したことは前に報告した.
観察の際に,長石の表面に薄緑色の皮膜状結晶が見られるのに気づいたが,
これが雪入のウラン鉱物と思われるので報告する.
B.産地及び交通
<産地>
雪入のペグマタイト産地は,前述のように日本で最初の燐酸塩ペグマタイト
発見地である.ウラン資源調査の際にこれが発見されたことは草下(1982)に
詳しい.
さて,産地までの詳細な道順ですが,雪入りでは岩石鉱物の採集は認められ
ていないので,申し訳ありませんが,割愛させていただきます.
左の図1がペグマタイト転石の残る池のほとりです.白っぽい塊がペグマタ
イト質岩石です.
池のほとりに下りてあちこちに転がる白い花崗岩質岩石を観察してみましょ
う.一つは普通の花崗岩ですが,黒雲母だけでなく白雲母も多いので両雲母花
崗岩とよばれるものです.もう一方は同岩質ペグマタイトですが,これがまた,
2つに分かれます.一方は一つ一つの鉱物の粒が大きい一般的な花崗岩質ペグ
マタイトです.ペグマタイトを主に構成するのは石英,カリ長石,黒雲母,白
雲母で所々に鉄電気石,灰鉄ザクロ石が入っています.もう一方は文象花崗岩
というもので長石の中に石英が古代文字の様に入っています.
ここの採石場はもともと粘板岩やホルンフェルスを砕石用に採掘していたよ
うです.転石を見るとペグマタイトや花崗岩が粘板岩と接触した部分はホルン
フェルスになっていることが分かります.これが何を意味しているかというと,
もともと存在していた粘板岩の中に後から花崗岩体が貫入してきて,粘板岩に
熱を与え,粘板岩に変成が起こったものです.このようなタイプの変成作用を
「接触変成作用」といいます.こういった部分にも注意を向けたいものです.
<交通>
最寄駅:JR常磐線土浦駅
C.採集鉱物
燐酸塩鉱物1種が観察できた.
燐酸塩鉱物
1.燐銅ウラン鉱 Torbernite
花崗岩質ペグマタイトの長石の上に薄緑〜草緑色鱗片状結晶として産する.
大きさは2mm内外.小さいが,長石の上に緑色をしているので分かりやすい.
硬度2−2.5.正方晶系.一方向{001}にヘキ開完全.一方向{100}にヘキ
開不明瞭.主にペグマタイト中に産する.
D.おわりに
日本初の燐酸塩ペグマタイト産地として名を馳せた雪入も,採石がおわり,
公園も出来てもう何も観察できないかと思ったが,まだ多少のペグマタイト鉱
物が残っていた.ただし,当産地は公園内なので節度を持った行動をしてくだ
さい.特に,池に落ちないように注意してください.岩石鉱物は採集できませ
ん.
E.参考文献
草下英明(1982):”鉱物採集 フィールドガイド”,(草思社)
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