15)日光市小来川鉱山
A.はじめに
栃木県日光市東部に位置する小来川鉱山は,昭和中期まで銅を
採掘した鉱山である.以前から各種の銅の二次鉱物の産出でその
名を知られている.草下(1982)にも詳しく紹介されている.
今回,最近まとまった産出が報告されていた藍銅鉱を求めて,
当地を訪れたが,目的としていた藍銅鉱は余り採集できなかった.
しかしそれでも数種類の銅の二次鉱物をはじめとした各種の鉱物
が採集できたので報告する.
B.産地及び交通
<産地>
今市・日光市方面から鹿沼市方面に抜ける県道の西側に位置し
ている.「峠下」バス停からやや今市方面に距離を戻すと,林道
入口があります.林道入口から15分ほどで第一のズリに到達し,
さらに10分ほど歩くとかつての作業場跡地と広大なズリがありま
す.
小来川鉱山は,石英ヒン岩? 中などの鉱脈鉱床であり,品位は
割合高かったようである.脈石鉱物は石英,方解石.
<交通>
最寄駅:JR日光線 今市駅
C.採集鉱物
硫化鉱物2種,炭酸塩鉱物3種,硫酸塩鉱物2種,珪酸鉱物1種
が採集できた.
硫化鉱物
1.黄鉄鉱 pyrite
著しく粘土化した鉱石中に数o大の立方体自形結晶をなす.表
面は酸化してやや変質している部分もあるが,金属光沢がある.
黄銅鉱と共生する.
2.黄銅鉱 chalcopyrite
黄鉄鉱と同じ鉱石中に塊状半自形結晶で産出する.やや酸化し
て表面は真鍮色となっている.
炭酸塩鉱物
3.方解石 Calcite
白色半透明.自形結晶あり.方解石は三方向へのヘキ開明瞭で,
塩酸に溶けるので,石英との鑑別は容易である.
4.孔雀石 Malachite
緑色塊状〜皮膜状.当地の銅の二次鉱物の中では最も多産する.
藍銅鉱と同成分.そのためしばしば両種は共生する.いわゆる,
緑青(例えば,10円玉の緑になった部分)というのは孔雀石と同
じ炭酸水酸銅である.
余談だが孔雀石は緑色の顔料として古代から使われていた.ま
た藍銅鉱も同様に青色の顔料として利用されていた.
5.藍銅鉱 Azurite
濃青色粒状結晶.孔雀石に比べると産出は少ない.作業場跡地
の上方にある大きなズリ(ここには何もない)の付近でかつて多
量の藍銅鉱が産出したといわれていたので探査してみたが,見つ
からなかった.最初のズリで何点か1oほどの自形結晶を採集し
た.
硫酸塩鉱物
6.ラング石 Langite
青色粒状結晶.藍銅鉱と酷似しているが,色の感じがやや違う.
産出は他の鉱物に比べ,かなり少ないようである.
7.銅緑バン Chalcanthite(Malanterite)
淡青色粒状〜皮膜状.
D.おわりに
二次鉱物の産地として有名な小来川鉱山を訪れて,各種の鉱物
を採集できた.ズリは大きく,まだ収穫が期待できる産地である.
また山の裏側にも大きなズリがあるが植林が行われ,大した収穫
はなかった.
E.参考文献
草下英明(1982):鉱物採集フィールドガイド,(草思社)
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