A.はじめに
3月に入り,気温も上昇してきて,採集シーズンの到来を感じさせられる.
今回は,山梨県塩山市の鉱物産地を甲府のN氏の案内で,Y氏と共に訪れた.鈴庫鉱山,
平沢,竹森の順に巡りなかなかの成果を上げることができた.
3月というのに,雪が降るという厳しいコンディションであったが,幸いにも目的のカニ
ュク石をはじめとした,各種の金属鉱物を採集することが出来た.
B.産地及び交通
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| 図1 鈴庫鉱山(Y氏撮影・提供) |
C.採集鉱物
元素鉱物
1.自然銅 native copper
石英脈中に塊状,樹枝状をなす.独特の赤っぽい金属光沢がある.
硫化鉱物
2.黄鉄鉱 pyrite
石英脈中に最も多く見られる鉱物.表面が錆びて緑色が掛かっているものもある.立方体
の自形結晶もしばしば見られる.
3.黄銅鉱 chalcopyrite
石英脈中に,塊状をなす.今回,自形をなすものが採集できた.ただ,表面は酸化して変
色している.
4.硫砒鉄鉱 arsenopyrite
石英脈中に表面に条線の良く発達する柱状結晶をなし,新鮮な面では鋼灰色金属光沢を示
すが,表面が錆びて赤茶けているものもある.カニュク石,スコロド石は硫砒鉄鉱の分解生
成物である.
5.カニュク石 kankite
含水正ヒ酸塩第二鉄.硫砒鉄鉱の分解生成物.世界中でチェコのクトナホラと,ここ鈴庫
鉱山からしか産出しません.ぼろぼろになった石英脈の中,ズリの中の土塊に淡黄緑色皮膜
状や,球状の集合として産出する.
N氏によると,10年ほど前はズリ一面が「うぐいす色」だったそうだったそうで,松原・
加藤(1982)も二次鉱物の中で最も多いと報告している.しかし,近年は全く見かけないと
のことだったが,今回ある程度カニュク石の固まっている場所を見つけ,全員採集した.
6.スコロド石 scorodite
カニュク石と同じく,硫砒鉄鉱の分解生成物.緑灰色.なお,スコロド石は,ハンマーで
打つとネギのような臭いがするので,昔は葱臭(そうしゅう)石とも呼ばれていた.
珪酸塩鉱物
7.珪孔雀石 chrysocolla
黄銅鉱などが分解された銅の2次鉱物.石英脈の表面,石英閃緑岩に鮮青緑色塊状をなす.
この他に産出の知られている鉱物(石田 1963;松原・加藤 1982)には,方鉛鉱,車骨
鉱,ブーランジェ鉱,ブロシアン銅鉱,少量の閃亜鉛鉱,磁硫鉄鉱,青鉛鉱,輝水鉛鉱があ
る.
D.おわりに
今回,山梨県塩山市の鉱物産地を巡り,最初に訪れた鈴庫鉱山で目的のカニュク石をはじめ
各種の金属鉱物が採集できた.
それにしても,3月も中旬になって雪が降るのには驚かされた.そのため,採集時間が余り
取れなかったのが唯一の心残りである.しかし,塩山市の鉱物産地,鈴庫鉱山,平沢,竹森は
これから暖かくなり,良いコースだと思います.
最後になりましたが,産地の案内をしてくださったN氏,Y氏に深謝いたします.
E.参考文献
1)石田高(1963):山梨大学学芸学部研報,14,156-160
2)松原聰,加藤昭(1982):“鉱物採集の旅 東京周辺をたずねて”,(築地書館)
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