A.はじめに
下田市高根山鉱山をあとにして本日2番目の採集地,静岡県河津町菖蒲沢やんだ
を訪れた.当産地は,東京から近い沸石族鉱物の有名産地で,広く知られた産地で
ある.相変わらず強く冷たい雨の振る厳しいコンディションであったが,一応
一通りの鉱物は採集することができた.
なおこの産地は満潮時の採集はかなり厳しいので,事前に干潮の時刻を調べてお
くのが良い.
B.産地及び交通
<産地>
当産地は伊豆急行線河津駅の南方1.8kmほどのところに位置する.河津駅から海岸
沿いに下田方面に向かう道路(国道135号線)に出て,2kmほど行くと,「亀の博物
館 アンディランド」という建物があり,河津駅方面からだと,その手前に海岸方面
釣具屋があり,近くに畑の中を通って海岸方面に下る道があるので,ここを進む.
途中道は二手に分かれるので,右に折れる.10分ほど歩くと広い海岸に出ます.右手
側は崖になっているが,この裏手には広い岩場があり,ここが産地(図1 Y氏撮影
・提供)です.
岩場に出ると,あちこちに白い脈が安山岩の母岩を貫いているのが観察できる.こ
れは大体,沸石脈か方解石脈である.脈の所々が太くなって晶洞が出来ており,また
安山岩中に空洞があり,そこに各種の沸石などの鉱物が晶出している.
なお採集時に気を付けたいのは,崖側で採集するときに,落石の危険性があること
である.沸石族鉱物が来ているということは,母岩は多少なりとも熱水で変質してい
るので岩体が頭の上に被さっているような場所での採集はやめましょう.岩場と採れ
るものの質は変わりません.
それから,大きめのハンマ(2kg以上)とたがねがあったほうが良いでしょう.
<交通>
最寄駅:伊豆急行線 河津駅 バス(「菖蒲沢」バス停)もあり.
C.採集鉱物
炭酸塩鉱物1種,珪酸鉱物1種,珪酸塩鉱物3種が採集できた.
炭酸塩鉱物
1.方解石 Calcite
安山岩中に脈を成したり,空隙に産する.空隙に産出する物のなかは,透明度の高
い自形結晶が産出することがある.結晶形態としては,犬牙状,菱面体状の自形があ
る.方解石の結晶形態は非常に多岐に渡っており,その変化に富むことでは鉱物の中
でも一番であろう.小川・木下(1995)によればその形態は400種類を超えるようで
ある.3方向に完全なヘキ開があり,冷希塩酸で激しく発泡し,沸石に比べ硬度が低
い(硬度3)なので当産地の他の鉱物との区別は難しくないであろう.
珪酸鉱物
2.玉髄 Chalcedony
安山岩中の空隙に,方解石や各種の沸石と共生する.やや青みを帯びている.主に
魚卵状,糸状で産する.塩酸で発泡せず,硬度も高いので,これも当産地のほかの鉱
物との区別は難しくないであろう.
珪酸塩鉱物
3.輝沸石 Heulandite
安山岩中の空隙に,玉髄や各種の沸石と共生する.その名の通り強いガラス光沢を
持つ.主として透明.
4.菱沸石 Chabazite
透明〜白色の菱面体結晶を成して,沸石脈中に各種沸石と共生することもある.菱
面体なので方解石との判別が必要だが,菱沸石のほうが立方体に近く,硬度も高く,
またヘキ開も無いことなどから判別可能である.しばしば双晶を成す.
5.モルデン沸石 Mordenite
沸石脈の晶洞や安山岩に空隙半透明〜白色の毛玉状集合体や放射状扇形集合体をな
す.関東近辺ではここのものが一番かもしれません.
また,3月にY氏一家が伊豆を再び訪れた際には,なかなか素晴らしい毛玉状集合
体を採集できたそうです.
当産地ではこの他にも,ソーダ沸石,ダキアルディ沸石,束沸石,魚眼石が産出す
ることが知られています.
D.おわりに
強く冷たい雨の降る悪条件下での採集であったが,一通りの鉱物が採集出来た.し
かし,やはりこの産地は吹きさらしなので,晴れのときの採集のほうが圧倒的に効率
が良いそうです(Y氏談).また訪れてみたいものである.
また,本日も採集会参加者の皆様に大変お世話になりましたことを感謝いたします.
E.参考文献
小川留太郎・木下亀城(1995):”岩石鉱物”,(保育社)