1)伊豆の鉱物産地 その1―下田市河津鉱山桧沢坑の自然テルル Native Tellurium of Hinokisawa Ad.,Kawazu Mine,Shimoda City,Shizuoka Pref. ―Mineral Locations of Izu No.1.

A.はじめに
 年明け前に運良く大学合格が決まった筆者は,12月は高校の試験期間だというのに, 池袋ミネラルフェアも通し券でチケットを買い,科博名誉研究員加藤昭 氏の講演も聴 きに行った.すると,夏休みに千葉県立中央博物館でお会いしたY氏御一家も講演に 来ていた.合格の挨拶をすると,大変喜んでくださり,今度,採集に行きましょうと いうことになった.Y氏は良く一家でN氏の採集会などに参加しており,次は伊豆で の採集会だから,N氏に問い合わせてみるとのことでした.N氏は筆者の参加を快諾 してくださったので,晴れて伊豆の採集会に参加できることになった.
 さて,伊豆というところは冬でも他の地域に比べれば温暖で,積雪の心配も海沿い では殆どないので,冬の間の採集地としては最適の地域である.

B.産地及び交通
<産地>
 今回,最初に訪れたのは下田市蓮台寺にある河津鉱山(旧称蓮台寺鉱山)である. ある.ここは草下(1982)にも紹介されている日本の有名鉱物産地の一つである.主 に金,銀,マンガンなどを目的に採掘が行なわれたようである.鉱山の範囲は非常に 広く,産出する鉱物は鉱床ごとに結構異なっている.第三紀の低温熱水鉱脈鉱床であ る.
 最初に訪れたのは,桧沢坑である.ここは日本でも数少ないテルル鉱物の産地であ り,今でも良品は減ったが自然テルルなどが採集できる.ここは金を目的に採掘され たようだ.産地は,大沢口バス停から更に前進し,左手に曲がる林道に入ると,道の 脇に塞がれた坑道が現われる.中から水が湧き出しており,酸化マンガンと思われる 帯青黒色沈澱が水底を覆っている.この坑道の横の急斜面をよじ登ると,一面に白っ ぽい石の破片が散らばっている.これは緻密な石英(陶器質と呼ばれる)でこの中に 入っている各種の鉱物を採集します.

<交通>
最寄駅:伊豆急行線 伊豆急下田駅 大沢口行きバス利用 終点下車

C.採集鉱物
元素鉱物1種,酸化鉱物2種を採集した.

元素鉱物

1.自然テルル Native Tellurium
 原子番号52番元素記号Te.特殊鋼の原料にされるようである.
 桧沢坑では,前述のように緻密な石英中に銀灰色〜黒灰色の金属光沢をもつ塊状で 産出することが多い.ヘキ開面は特に良く輝く.金,銀と関連することの多い鉱物で シルバニヤ鉱等のテルル化金銀鉱物は数多く存在している.今回は,ヘキ開の良く輝 くなかなかの標本を採集した.

酸化鉱物
2.テルル石 Tellurite
 組成は二酸化テルル.パラテルル石とは同質多像.緻密質石英の晶洞中に水晶に伴 って黄色板状〜柱状ガラス光沢の結晶として産出.希に頂部の付いた,独特の形をし た自形結晶が採集できるようだ.横浜のM氏,流山のT氏に鑑定していただいた.量 は少ない.
3.パラテルル石 ParaTellurite
 パラテルル石とは同質多像.淡黄色皮膜状結晶で独特の光沢がある.こちらも量は 少ないので採集には根気(と運!?)が必要だ.

D.おわりに
 初めて参加させてもらった採集会で充実した一日を過ごすことが出来た.同好の士 からいろいろな興味深い話や採集上のアドバイスを頂いた.特に,この採集会に私を 誘って下さり,また成田からはるばる伊豆まで車に乗せてくださったYさん,採集会 を企画し,私の参加を許可して下さったN氏,産地移動の際に車に乗せて頂いたT氏 とご子息T君をはじめ,参加者の皆様に深く感謝いたします.

E.参考文献
草下英明(1982):”鉱物採集フィールドガイド”,(草思社)

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