火星大接近と僕


2003年9月6日(土)


 前回のクラシック音楽会の話のオチは、もちろん、嘘ですな。


 そうそう、ちょっと、古い話になるねんけど、こないだ火星が何万年ぶりかに大失禁、
大接近した日があったじゃないですか。その二、三日後、夜11時バイトが終わって外へ出ると、
先にあがっていた他のバイトの人たちが、駐車場で一斉に南の空を見上げていた。
「火星っすか?」と聞きながら立ち寄る。駐車場はライトがかんかんに照らされ、
空も照らし出される。そのため、夜にも関わらず、雲があるかないかまで丸見えなのだ。
その日は、星一つなく、雲に覆われているようだったが、真南にこれ見よがしにオレンジ色に光る点がくっきりと。
その点だけが、輝かしく光を放っているのだ。


「うさんくせえ。」


あの光り方、べたべたやんけ。
僕「あれ、うそ臭いっすねえ。」
バイトの人「うん、だから人工衛星ちゃうか、言うてんねん。」
僕「きっと、そうでしょうねえ。」
 しかし、次の道頓堀から心斎橋筋を何気にぶらぶら歩いている時、人ごみの半数は、
手、足、頭などちゃんとした人間らしい生物だったのだが、
残りの半数はでかいベトナムの帽子のような頭の下から何十本もの触手の生えたクラゲのような生物だったので
驚愕した。驚愕のあまり、

「足なんぼほどあんねん。」

と、ぼそっと口にしてしまったところ、それを聞き付けた一人のクラゲが、
「足ちゃうわ!!手じゃ!!おま、コラ、なめとったらあかんど、コラ。おい、どつきまわすぞ、ワレ。
人の手を足言うといて、『すんません』もなしか、コラ。」
と、つかみかかってきた。とても、怖かったので、財布から25000円ほど出して、

「これで・・・」

と言うと、納得して行ってくれた。悔しかったが、ああいう人には逆らわない方が利口だ。
そして、歩いて行こうとしたところ、嫌な予感がして、道頓堀へ戻った。予感は的中していた。
大量のクラゲが、

「阪神タイガース優勝、ばんざーい!!」
「阪神最強!!」
「18年ぶりの優勝だー!!」
「ろーっこおろーしにー・・・」
「やったー!!阪神おめでとう!!」
「25000円貰ったぞー!!」
「星野、ばんざーい!!」
と口々に叫びながら、道頓堀に飛び込んでいたのだ。
しかも、戎橋からではなく、グリコのおっさんがはりついた建物の屋上からだ。
スタート位置が無駄に高いため、飛び込むクラゲは水面に叩きつけられて、次々とこっぱ微塵になっていった。
へこんだ。

 その日、道頓堀ではクラゲが大漁に水揚げされたが、
それが大量に売れることはなく、不況日本を少し延命させる経済効果にもならなかった。

Written by Kimberly Chang
Translated by koichi kimuRa