3月21日(金)
ようやく待ち望んだ春の3連休、何処に行こうか・・・?数年前に尋ねた北近畿
にもう一度行ってみることにしました。以前訪れた折、忘れられない味に出会い
再び訪れようと予てから思っていたのです。もう一度出会いたい景色、どうして
いるか気になっている子、前回果たせなかった事、色々叶えたい事が沢山の3
日間、はたして思い通りに事は進むのでしょうか・・・?
いつもの様に前夜の仕事を終え、食事を済ませたらデリカ号で出発です。今回
初のETCのゲートにワクワクしながら、名神〜吹田〜中国道〜吉川〜舞鶴道
と順調に走ります。3月に入って天橋立ICが丁度開通したそうで、手前の由良
川PAで朝を待ちます。さすがに日本海側の山郷は春の足音もゆっくりの様子
です。目覚めると駐車場は白い霧の中、高速道路はチョッと恐いかんじです。
それでも幾つ目かのトンネルを抜けると、ぱ〜っと明るい青空が広がりました。
やった!今日の天気はこうでなくっちゃ困るのだ!ウキウキ気分で高速出口
へやってくると、ガ〜ン!出来たばかりのICのくせに、ETC対応していないん
だって。ちぇっ。折角の初登場だったのにぃ〜。
さて、朝ご飯はどうしましょ。出来れば自転車の前に何か食べたいんだけど、
生憎さっきのPAには自販機すら無かったし、ファミレスどころかコンビニす
ら見当たらない。でも一応目星は付けて有るんだよね。天橋立を通り過ぎて、
岩滝町を抜けて天橋立の対岸近くに、以前モーニングを食べた喫茶店が有った
っけ。確か道の左側、クマの立て看板が道路に出ていたっけ・・・あれ?無い。
ウソッ!無くなっちゃったの?何で?何で〜〜?念のためもう少し先まで進んで
「やっぱり無いね」って納得して失意のうちにUターンするのでありました。
再び岩滝町方面に引き返します、が、チョッと待った!「モーニング」って看板が
そして何か見覚えのあるものが見えたような・・・もう一度その看板のお店に戻る
と、さっきまで必死に探していたお店「ST.JOHNS BEAR」が立派なお店になって
いるじゃあ〜りませんか!ひぇ〜ビクリツ! でもまだ開店前のようです。もう
お腹空いちゃったし・・・仕方ない、コンビニでも探しましょ。
何故か全国チェーンのコンビニは全然見かける事は無く、ヤマザキストアー(デ
イリーヤマザキじゃない方、京都北部で見かけたコンビニはこればっかりだった)
のサンドイッチを(控えめに)食べて、岩滝町立体育館の駐車場にデリカ号を
停めさせてもらって、「いざ、天橋立きこきこに出発!」
国道178号を今来た道を戻る様に北上します。岩滝町内は道幅も狭くて、久々
の自転車の所為かのろのろとしか進めなません。やがて宮津市に入った所で、
さっき車窓から気になっていた、お城のような建物が見えてきました。
「なんだろ?」「あ・ま・の・は・し・だ・て・わ・い・な・り・−」って書いてあるよ。
へぇ、ワインなんてこの辺りで作れるんだ。見学も出来るようですが、さすがに
まだ朝の8時を廻ったところ。お洒落な建物の前で写真だけでも撮って行こう
か、と自転車を並べていると、中から男性が出てきて「中へどうぞ〜。」「え?
良いんですか?こんなに朝早くに?」「ええ、どうぞどうぞ。見て行って下さい。」
お言葉に甘えて中に入ると、1階は貯蔵庫と醸造室、2階は売り場とカウンター
が設えて有り試飲コーナーとなっていました。そして窓からは、海と横一文字
に広がる天橋立の松が見渡せます。テラスにはテーブルも用意されていて、そ
れはそれはステキなの。勿論、建物内部もとってもお洒落。
まだ微かに霧に包まれた天橋立をテラスからパチリ。すると中から「どうぞ、
一口飲んでってください。」「じゃあ、ちょっとだけ。」と、お言葉に甘えて
きさ家を代表して?お味見を。一番のお薦めとおっしゃるケルナー・2001年
(とてもすっきりした飲み口で、どんなお料理にも合わせられそうなお味)と、
ナイアガラ(ナイアガラのあの甘い香りがパッと広がります)を頂きました。
ケルナーはフルボトルだけ、って事で始ったばかりのきこきこには荷が重すぎ
るので今回は買わなかったけれど、次回は車で買いに寄りたいなぁ〜。
では先に進みましょ。すぐにさっき驚きの対面をしたカフェが見えてきました。
「ん?営業中!ど〜する?」「そりゃぁ寄って行かないってテは無いでしょ!」
あっさり意見は一致して、一番乗りで店内へ。窓際の席に座れば、海が目の前
に広がります。「うわぁ〜こんなにステキにリニューアルされたんですね。」
お店の方に事の顛末を話すと、きさ家が再訪した事に大喜びして下さいました。
「どうかテラス席も見てやって下さい。」言葉どおりに外に出ると、やっぱり
素晴らしい景色。席に居るダーを呼ぼうと店内の方を振り返ると・・・「!!!」
ビックリの「絵」が見られるのです。大きな長い窓に映し出された天橋立と海。
なんちゅ〜ニクイ演出なの!いやぁ〜参った!
飲み物+トーストで400円のモーニング。ダーはサンドイッチさっき3つ食べた
から、きさだけトーストも食べちゃいました。食事のメニュー(旬の地のあさりを
使ったパスタなんて美味しそうだった)や、カウンター席(地酒なんかも有り)
もお洒落で、一日のうち何時来ても良いって感じ。
右の絵がきさ家が早朝探していた旧店舗。国道の改修工事に伴って今の場所に
移転されたそうですが、旧店舗が無くなるのを惜しんで常連さんが描いて下さ
ったんですって。これもステキなお店でしょ。
お土産に可愛いベアのコースターも頂いて、「次にこちらにいらした時は、お車
をここに停めてサイクリングして下さって構いませんから。」と嬉しい御言葉ま
でかけて下さって、あぁ〜来て良かった!と大満足で店を後にしたのでした。
次は天橋立を高い所から眺めましょ、って事できさ家が選んだ道はアタック!
んな訳は無く、ケーブルカー&リフト乗り場にバーディたちを待たせて、楽々
と景色だけを楽しむ事にしました。軟弱だなぁ〜(笑)。
ケーブルカーは15分毎です。切符はどっちも共通なので、きさ家は行きはケ
ーブルカー、帰りはリフトにしました。土産物店の前に「股のぞき」の台が有
って、ダーのような姿勢で眺めると、天に橋が掛る様に見えることからこの地
名になっただそうです。さて?どんな風に見えるのかな??ここから更にもう
少し階段を上がったところに、この傘松公園の地名の「傘松」の木があって、
そこからの方が、見晴しが良いようです。でも対岸のビューランドからの景色
の方が、真っ直ぐ天に掛る様に見えて良いとも聞きました。どうなんでしょ?
地上に降りた後は、天橋立の中をきこきこと。お散歩してる人、レンタサイクル
のグループ、道幅が狭い所もあるのでゆっくり行きましょう。真ん中を走るだけ
じゃ勿体無いから、是非とも所々で砂浜の方へ出てみましょう。そして南端の
近くには日本名水100選に入る「磯清水」の井戸が有ります。ボトルに詰めて
行きましょう。海の真ん中なのに、真水が湧くなんて不思議な感じです。
さらに進むと「廻旋橋」が有ります。一日に40〜50回も船が行き来する度に、
90度橋が回転するのです。もちろん両岸には係りのおじさんがチェーンを張って
通行を中断します。橋の傍には高級そうな宿が立ち並び、こんな部屋から優雅
に眺められたらステキだろうな・・・イヤイヤ。高い!ブルブル。
橋を渡って、突き当たりにある「勘七茶屋」で名物の「知恵の餅」を頂きます。
知恵の餅?って何って? この茶屋の奥に「智恩寺」というお寺が有って、そこ
のご本尊様は「文殊菩薩様」なんですって。そう”三人寄れば・・・”でお馴染み
?の文殊様ですね。だから知恵の餅も、もちろん1人前は3つ。やわらかいお餅
にこし餡が絡んだ、伊勢名物の赤福に似たお菓子。店内でお茶と一緒に頂くと
250円です。ちっちゃなお餅ですぐペロリ。
じゃあ知恩寺にお参りしましょ。順番が逆じゃない〜!って突っ込みは無しね(笑)。
立派な山門をくぐると、室町時代に建立されたと伝えられる「多宝塔」がデ〜ン
と建っています。
写真を撮るのを忘れてしまいましたが、御手洗(みたらし)も凄い事になって
ました。また立派な鐘楼も有りました。ちゃんと知恵が授かるようにお参りも
しましょう。鐘楼の前から右へ出ると、観光船乗り場の桟橋が有ります。時間
とお財布に余裕が有れば乗るのも良いかもしれないですね。で、幾つかの船の
間に「知恵の輪灯籠」と名前の付いた灯籠が有ります。3回くぐり抜けると知恵
が授かるんだそうですが、授けてもらうには相当な努力が必要みたいです。
お参りも済ませて、さて、どうしましょ?ちょっと早いけど、ここでお昼ご飯に
しちゃおうかな。文殊付近には沢山の旅館や食堂、土産物屋さんが並んでいま
す。ちょうどランチタイムの営業時刻が過ぎたところ、各お店の前をウロウロし
ながらメニューと値段を品定め。そして廻旋橋の目の前にある旅館「対橋楼」の
1階に有る「阿蔵」という食事処に決めました。
1日15食限定の精進風ランチ(豆腐・コンニャクの炊き合わせ、ひじきご飯と
お吸い物・850円)と、岩清水御膳(海鮮丼・京都風のうどん・サラダ・小鉢
・1500円)を頂きました。窓の向こうに目を向ければ、グルグル廻る赤い橋と
行き交う船を眺める事ができます。う〜ん、良い感じのランチだわぁ。
食事の後は天橋立駅に向かいます。折角だから北近畿タンゴ鉄道で輪行してみ
よう!って訳です。一両だけの小さな車両に乗込むと、両脇がベンチシートで
通路はとっても狭い〜!難儀をしながら前へ移動したのですが、無人駅でなけ
れば、前から乗っても良かったのよね。あぁ〜わざわざ無謀な事をしてしまった
のでした。
天橋立駅を出た列車は暫くは海沿いの道に沿ってガタゴト。「あ!きこきこして
るヒト発見!」すごいスピードで走っている姿を窓越しに眺めます。やっぱり
こっちの方が楽チンで良いじゃない♪
やがて線路は海から離れて、どんどん山里の中へと進みます。レンガの古そう
なトンネルを抜けて、並走する国道の方を見ると「うぉ〜峠だぁ〜!」きさ家に
は、きこきこしてココを越えるなんて無理だもんね。輪行さまさまです〜。
やがて2台のバーディときさ家の二人は、静かな静かな小さな駅に降り立ちま
した。丹後大宮は小野小町が晩年を過ごした地(駅で初めて知ったんだけど)
なんだそうです。何の予備知識も無いまま、アテも無くぽたぽたするのに良い
所みたい、とnassanから教わってきたのです。駅のホームで自転車を広げて
いると、後ろの窓越しにコーヒーサイフォンが見えました。「え?」そっと脇か
ら覗くと、黒ネコの可愛い看板に「JIJI」って店名が見えます。駅舎の正面
にまわって見ると、駅の一角がカフェになっています。ケーキにワッフルか・・・
寄り道したい気持ちを堪えて、ぽたぽたすることにしました。
今日は春分の日、観光地ではない町中には日の丸が掲げられています。まるで
数十年前にタイムスリップしたような錯覚を味わいながら、気の向くまま彷徨う
のです。時々すれ違う町の人は、少しだけ訝しげな表情です。恐らく「一体何を
しているんだろう?ここには何も無いのに・・・」そう言いたそうな。
集落の一番小高い場所に「大野城跡」と小さな案内板。苔生した石段を登っていく
のは、まるで先週(と過去に十数回目も)見たアニメ”天空の城ラピュタ”の気分。
もしかしたら「衛兵ロボットが待っているんじゃないか?」なんて思ったりして。
でも静かに山城が待ってくれていたので、少しホッとしました。本当に何も無
かったら寂しいもの・・・。
ここは本当につい先日まで現役だったクリーニング屋さん。もう少し早く訪れ
れば、お店として開いていた姿が見られたのにね。他にもあちこちで”思わず
足を止めてしまう”景色に出会えた大宮町なのでした。
丹後大宮から峰山町まできこきこして、峰山駅から再びタンゴ鉄道(ダンゴじゃ
ないっ!)で峠をパスしよう、って作戦。電車は1時間〜1時間半おきなので、
それに合わせて峰山駅に到着するようにしなくてはいけません。峰山町までの
道程は、国道312号から482号へと入ります。しかしきさ家は482号を
旧道の方へ入ってしまったみたいで、大回り+プチ山越えのしてしまいました。
峰山町では探したいお店が有るのに、大丈夫か??
事前に調べた際、是非ここ「小野甚醸造」の「もろみ」を買って帰りたい、と思っ
ていたのですが、場所がわからず右往左往。結局峰山駅に向かって、駅前から
の行き方を電話で尋ねて到着する事が出来ました。お店の前に、今電話で話し
たと思われる女性が立っています。「え?自転車でいらしたんですか?」と、少し
驚いていらっしゃるようです。「車ならとっくに着く筈だから、どうされたのか
なぁ〜、と心配になって外に出てみていたのです。」との事。
こうして無事に品を手に入れ、お店から駅までの間の峰山町で1軒だけと思わ
れるケーキとパンのお店を横目で見ながら(時間が無くて断念!)泣く泣く駅へ
と引き返したのでした。
あれ?ケーキ食べてるじゃん! 結局輪行で岩滝口駅まで引き返し、そこから
デリカ号の待つ駐車場へ戻る途中に有る(岩滝町で1軒だけの)ケーキ屋さんに
寄り道したのでした。もう夕方に近い時間なんだけど、二人ともタルトにしちゃ
って大丈夫かな?もう少し軽そうなお菓子にすれば良かったかな?でもすぐに
平らげて、再び漕ぎ出すとすぐにデリカ号の元に帰還となったのでした。
走行距離は27キロと少ないけれど、なんだか凄い”旅気分”を味わえた1日
でした。
この後はデリカ号にお任せ。自転車ではとてもとても・・・(^^;
ここは丹後半島西部・網野町の「琴引浜」って所です。歩くと”キュッキュッ”と
音がする鳴き砂で有名な場所。以前訪れた際は、生憎直前に雨が降りだしてし
まい、その音を聞くことが出来なかった(乾いていないとダメ)のです。今日は
快晴、ちょうど日本海の夕陽が美しい時間に到着する事ができました。
駐車場から波打ち際へと歩いて行きます。鳴かないね・・・本当に鳴くのかな??
すると前方にいるカップルが、愉しげにグルグル砂を踏みしめています。きっと
あの辺りまで行けばいいんだ!波打ち際近くの乾いた部分まで進むと、確かに
足元から音が聴こえます。ひゃ〜!本当に鳴いてるよ!
鳴き砂で遊んだ後は、木津温泉へと向かいます。ちょうど旅館の夕食時刻に合わ
せて温泉だけ入らせて頂こう、って訳。松本清張が滞在したという宿「ゑびすや」
の露天風呂は、規模はそれ程でもないけれど木々に囲まれた気持ちの良い場所。
小鳥の声を聞きながら、夕闇迫る空を眺めながら独り占めする温泉・・・う〜ん
旅番組みたいだねぇ。
と言う事は、この後は美味しい土地の味を堪能しなくちゃね。網野町「とり松」は
郷土料理の”ばらずし”を食べさせてくれるお店。ここで以前ばらずしを食べ
て以来、ずっと「また食べたいね!」って思っていたお店なのだ。ばらずしと
名の付くちらし寿司は各所で作られていますが、丹後のばらずしの特徴は焼き
サバの身を醤油、酒、砂糖で甘辛く炒り炊きにした”おぼろ”が味の決め手!
彩りも鮮やかで、サバの味わい深さが絶品なの。早く食べたい!
しかしお店に到着すると、連休の最中大賑わいの様子。観光客よりも、地元の
家族連れの方が多い感じです。新鮮な海の幸を食べさせてくれるお店としても
人気のお店のようです。厨房からお料理が出されるのが丁度良く見えるテーブ
ル席の隅に座る事が出来ました。これがまた目の毒というか・・・もうお腹が空
いて堪りません。だってどれもスゴク美味しそうなんだから!入店した時には
食べている人よりもお料理を待っている人のほうが多かったので、なかなか順
番はまわってきそうにありません。あぁ〜早く食べたいよう〜!!
大忙しの店内では、3人の女性がきびきびと仕事をこなしています。やがて小
上がりが空いたところで「すっかりお待たせして申し訳ありません。よろしか
ったら、こちらのお席へ如何ですか?」と声を掛けて下さいました。お言葉に
甘えて、ゆったりした席へ移動。するとすぐに御待ちかねのお料理が登場です。
これが”ばらずし定食・1200円”茶碗蒸し、まぐろの山かけ、お漬物、そして
デザート(イチゴのミルク寒)も付いてます。久しぶりのばらずしのお味は・・・
う〜ん!コレコレ!サバおぼろはやっぱり超美味!来て良かった!!
梅定食・1600円はお造り、炊き合わせ、テリーヌ風のあん肝、筍のお椀に
八寸(蟹マヨ、鴨ロースト、水菜の和え物)と盛り沢山。どれも一口運ぶ毎に
ニコニコと笑顔になる出来栄えのお料理ばかり。大満足です、ハイ。
こうして初日から上々の一日となったのでありました。明日はお天気は下り坂
の予報です。どうなる事やら・・・
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