11月9日(土)

春に2度、店の前を通りながらも定休日の日曜日だったので入れなかったお店。
佐屋町の中国茶&中国粥、そして珈琲の茶一花。一宮のyamaさんからもお薦め
と伺っていたので、ず〜っと気になっていたのです。今年中に行けるとしたら、
今日が最後のチャンスになりそうなので行ってみる事にしました。

佐屋町は名古屋の西の端から更に5キロほど西にある町です。きさ家からだと
直進で30キロ弱くらい有るみたいです。“チョッとお茶”のつもりが、何だか
大変な事になりそうです。

佐屋町方面へは、大回りになりますが名古屋の外側に沿って流れる庄内川を下
って行く事にしました。先ずはきさ家の目の前を流れる支流沿いからスタート。


春には桜で埋め尽くされたサイクリングロードも、今は赤いトンネルになって
います。今日の予報は北西の風、しかし川は北西方向に流れていきます。うぅ
もろに向かい風だった。川沿いにしたコース選択は失敗だったのかなぁ。

庄内川の流れが、緩やかに南西方向に進路を変えた辺りからは少し楽になって
きました。一度川から離れて、コンビニで一休み。ちょこれいとをぱくぱく。
ふぅ、生き返ります。

ここから北岸に道を移してサイクリングロードの終点にあるのは庄内緑地公園。
この公園は四季折々の花で彩られていて、今日はコスモスが揺れていました。


もう冬の気配すら感じるのに、コスモス。真夏に黒姫で見たっけ・・・コスモスは
気温は気にしない花なのかな?芽が出てから花を咲かすまでの日数が一定なの
かもしれないね。ピンクの花に青い空、風さえなければポタ日和なんだけどね。


庄内緑地公園から下流はサイクリングロードが整備されていないので(一部整備
中だったり)途中、未舗装路を走ったりしながら中村区と甚目寺町を結ぶ豊公橋
へとやってきました。隣を流れる新川も越えれば、甚目寺町に入ります。

川を離れてようやくお店がある道路へ戻ってきました。ず〜っと我慢していた
トイレに漸く駆け込めそうです。確かモスバーガーが有ったはず。一休みする
にはちょうど良いです。
化粧室で鏡を見ると、頬が真っ赤です。体に寒さは感じないものの、やはり顔
に当たる風は冷たかったもんね。なんだか小恥ずかしいほどの赤さです。

モスバーガーではコーンスープを二人で1杯だけ。申し訳無いですねぇ。でも
ここでお腹を膨らませるわけにはいかないのだ。川沿いを走りながら、今日の
ランチを何処にしようか頭を巡らせて、前から気になっていた“あの店”に行く
事に決めたんだから。

たぶん開店は11時30分だろうから、このまま真っ直ぐ向かうにはチョッと
まだ早い。どうしようかな〜と思っていると「甚目寺観音」の看板が目に入った
ので寄り道してみる事にしました。

 
甚目寺町を通るたび、町のシンボルマークに三重の塔がデザインされている事
にギモンを感じていたけれど、今日その謎が解けました。こんなに立派な塔が
有るなんて知らなかった!本堂も立派です。近くの街でも知らない名所、って
沢山在るものなんですね。

もうそろそろ良い時間でしょ、ってことでランチのお店に向かいました。ココ
は約一年前、祖父江町へ自転車で出掛けた際に通りかかったお店。その時は朝
10時前だったので当然店は閉まっていて、こっそりと覗いた厨房でシェフが一人
大量のタマネギの山を黙々と下拵えしている姿を見かけて以来、ずっと気にな
っていたのです。

 

「嘉風(かふう)」洋食屋さんかと思っていたのですが、どっこい本格フレンチの
お店でした。外に出されたメニューを見るとランチは1800円、2500円!
うっ!思ったより高い・・・でもせっかくココまで来たんだから、って事で入っ
てみることにしました。コンクリートの壁、席は堀炬燵で上がり框には白い石、
テーブルの壁際には竹(青じゃなくてベージュ色になったもの)を配して・・・と
ここが甚目寺だって事を忘れそうな店内です。
厨房からは各席の様子が見えるようになっているみたいです。おかげで殆んど
良いタイミングでお料理も供されました。

当然1800円のランチを注文しました。メニューには料理名が無いようなの
で「1人分はチーズ抜き」を伝えると「スモークサーモン、牡蠣が有りますが
これらは大丈夫でしょうか?」と。一応気を遣っている様子で好感触。

  
先ずはスモークサーモンのサラダ・レタス、サーモンにトマトとシブレットを
散らしてマヨネーズタイプのドレッシング。それにグレープフルーツも加わっ
て爽やかな味わいです。

次に牡蠣の軽めのトマトソース風味グラタン。熱々の牡蠣をふぅふぅはふはふ。
トマトソースにはベーコンを少し加えてコクを出してます。貝殻に残ったスープ
をダーは飲んでしまったところで細いフランスパン。きさはまだ1個分残って
いるので、パンを小さくちぎっては浸して食べます。むちゃシアワセ〜!

そしてお湯呑で出されたのはコーンスープ。ちなみにココの食器は全て砥部焼で
全部が花をあしらったデザインのもの。で、このコーンスープがまたまた美味。
さっきファーストフードのを食べたところだけに、その差が歴然。ダーと顔を
見合わせてニヤリ。やっぱりレストランの味、ってカンジだよね〜

  

続いてパスタも出てきました。温かいカッペリーニは初めて食べました。帆立
の軽いクリームソース仕立てのスープパスタです。パンもお代わりして、スープ
に浸して食べちゃいます。あっさりとしていて、気付くとボウルの中はピカピカ。

ようやくメインの登場です。エイ(あの平ぺったいエイです!)に香草&パン粉
をたっぷり乗せてグリルしてあります。お皿からはシナモンの香りが漂います。
「!?」と思いながらエイの下を見ると、キャベツとリンゴを煮たものが中に
敷かれているではないですか!そして新じゃがいもが添えられています。
生まれて初めて食べたエイは、くせのない白身ですが軟骨に当たるとやっぱり
エイの姿を想像しちゃいます。あ、でも凄く美味しかった〜!

もちろんデザートもね。奥から時計回りに、グレープフルーツ風味のブリュレ、
バナナのムース、メロンのシャーベット、ダックワース風の焼き菓子。どれも
上品な味わいです。珈琲がもっと飲みたかったかなぁ。
これで1800円、十分にその価値があるランチでした。来てよかった!


あぁお腹一杯・・・でも少し困った事になりました。どうしてかというと、ここ
から1キロほど先にも気になっているケーキ屋さんがあるんだもの。でもそこ
にはカフェが有るのかどうか判らないので、とりあえず様子見って事で寄って
見ることにしました。もっと遠かったら丁度イイのに。

 
「おーふーがし山本」の店の前までやって来ると、外の黒板に「ケーキセット」
の文字。折角ここまで来たんだから、とつい中へ入っちゃいました。飲み物と
セットで50円引き+焼き菓子もサービスされちゃうのです。
サクサクのマロンタルトとへーゼルナッツの香りが堪らないマルジョレーヌを
注文したら、クッキーとコーヒー風味のマドレーヌも付いてきました。どれも
美味しくてペロリンコです〜。でもホント言うとランチでパンのお代わりしな
きゃ良かったなぁ、と少しだけ後悔。もう食べられない〜って気分です。


さてこの先は佐屋までゆっくり走って、念願の中国茶のティータイム、う〜ん!
完璧な休日じゃないの!上機嫌できこきこです。途中地図を広げると「津島の大
ムク」と記されているのが気に掛ります。ムクって樹だよね?見に行ってみよう
かなぁ。

そう言うわけで、回り道って程でもないので探してみようと思ったのですが、
見渡した所大きな樹は見つかりません。そうこうしているうちに「冷たい!」
雨が降ってきました。すぐ傍のショッピングセンターに逃げ込みます。


1時間ほどして外に出てみると、止んではいないものの小降りという所。どう
しよう・・・津島駅から輪行で帰るべきか?それとも・・・せっかくココまで来た
んだから、佐屋まで行ってみようと決めて雨具を着込みました。

ついさっき買ったばかりの900円の帽子も被って、準備が整った所で無情に
も雨が強まってきました。あぁ、こんなにも雨に降られるなんて、きさ家二人
で出掛けた中では記憶に無いかも。ほとんど雨に泣いた事が無いだけに、つい
に洗礼を受けるのか!って気分です。前も見難くて怖いよ〜

ここから先はもう、何が何だか判らない状態でひたすら走るのみ。防水スプレ
ーを施した手袋も縫い目の隙間から雨がしみて来て、靴の中もやがて濡れてき
てしまいました。こんな悲惨な状態は初めてです。手・足以外はレインウェア
のお陰で寒さも不快感も無かったので、シューズカバーとちゃんとした手袋が
欲しいなぁ、なんて思いながら・・・

雨が降っていると地図を取り出すのも億劫で、お陰で道を少し間違えてしまっ
たのでした。ようやく佐屋町に入った頃には雨も収まってきて、養老山系の向
こうに西陽が射してきました。きっと写真におさめたならば、美しい雨上がり
の空が切取られたはずなのに、その時のきさにはカメラを取り出す気力も無く
勿体無い事をしたなぁ、と少し後悔。

午後4時過ぎ、ようやく今日の目的地「茶一花」に到着しました。店先で雨具
を脱いでいると他のお客さん達が目の前を過ぎていくのが恥ずかしい。どう見
たってお洒落そうなお店には似つかわしくない二人組なんだもの。かなり恐縮
しながら、いざ店内へ。HPで拝見したとおりの看板娘の奥様発見!



凍頂烏龍茶と中国の緑茶(名前失念)、各500円を注文すると、こんなに可愛い
セットが付いてきました。プチカップケーキ(この辺りの喫茶店ではコーヒーの
オマケにコレが出てくるお店が珍しくないけど、普通は素っ気無い袋入りのまま)
に餡を添えたら、なんだか見た目だけでなく味までお洒落。もう一つの小さな
お皿には、松の実が5〜6粒、プルーン1個、かりんとう1本、抹茶味お菓子
(中がライスパフみたいになっていてサクサク)、梅味のお菓子(見た目はかり
んとうみたいだけど羊羹に似た食感で美味)、それに謎の実(としか表現のし
ようがない・梅干の種の様な見た目なんだけど硬くない美味しい実。何かなぁ?)
と、なんだかトレイの上は賑やかです。

で、肝心のお茶のこと。陶器製中国茶用のマグ(ストレーナーと蓋が付いてる)
に茶葉を入れて、ポットのお湯を注いで砂時計が落ちるのを待ちます。出来た
ら茶葉の入ったストレーナーを抜いてマグで飲みます。写真は緑茶です。
もちろん二煎、三煎目まで十分美味しくいただけます。ポット(左に写ってる
の)も一緒にテーブルにサーブしてくれるので、心置きなく楽しむことが出来
て、すご〜く寛げます。店内には販売用の茶器や茶葉がお洒落に並んでいます。

寛ぐついでに1杯目のお茶を待つ間、マガジンラックに新聞が有るのを見つけ
たので古い新聞を1日分分けてもらいました。で、どーするか?無礼なことに
お洒落な店内でビリビリと新聞紙を破り、濡れた靴の中に丸めだす きさ家。
残った新聞は床に敷いて、濡れた靴下の足でペタペタ。あぁ雰囲気も何も有っ
たものじゃないけれど、濡れた靴の不快感には我慢ならなかったのです。

すっかり雰囲気ぶち壊しのきさ家ではありましたが、お店の方は皆本当に優し
く応対してくださって非常に嬉しかった!美味しいお茶を頂いている内に、殆
んど靴下も靴の中も乾いてきて、外も暗くなりかけてきたし、もうそろそろ帰
らなくっちゃ。会計を済ませたところで、「せっかく名古屋から自転車で来て
下さったのですから、宜しければお好きなお茶をお持ちください。」と仰る。
もう大感激。濡鼠のきさ家にどなたも嫌な顔を少しも見せず、しかもお土産ま
で・・・お言葉に甘えて小さな菊のお花が可愛らしいお茶と、お湯を注ぐと花
が開くというお茶(これは1粒なの)を1つずつ頂きました。

日曜日がお休みなのですが、機会を作って又是非お邪魔したいと思います。
中国粥、美味しいコーヒー、それにモーニングサービスも有るそうなのでこち
らも興味深々です。絶対また来るぞ〜!とココロに決めたのでした。

店の外に出ると残念、まだ雨は少しだけど降っています。再び雨具を取り出し
ライトの用意をしていると、店長さん(息子さんかな?)がお店の外までお見
送りまでして下さいました。あぁ雨に降られたけど、来て本当によかった。


お店から名鉄・佐屋駅まではすぐ。名鉄、地下鉄、と乗り継いで最寄り駅に降
り立つと、やはりまだ雨は止まない・・・今日はそんな予報じゃなかったのに〜
とボヤきながらの帰宅となりました。50キロと雨の先に辿り着いた中国茶が
シアワセ〜な気分にさせてくれた土曜日なのでした。


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