8月16日(金)
今日はこの休みに北信州に行こう!と決めた”最大の目的”を達成する日なの
です。去年の秋、いつも仲良くして頂いている大阪の ぽた郎さんとぽた子さんが
ここ黒姫に在る伝説のお蕎麦屋さん「ふじおか」に行かれて、そのレポートを
読ませて頂いて以後、ず〜っと気になっていたのです。是非、行ってみたい!!
きさ家はお蕎麦に疎いのですが、その価値を果たして見出せるのか?また1日
たった40人だけしか食べられないので、長い時間(最低でも1時間)開店前
から並ばなくてはいけません。そして何よりも、そのお店はものすご〜い山の中
に在るのだとか。”お蕎麦を食べに行く事がイベント”になってしまう、”味わう事”
よりも、この”イベントを体験する事”に興味が有ったのかもしれません。
<今回「ふじおか」を訪ねるにあたって準備した事>
1.お盆休みを確認する。→色々Webで探したけれど、定休日以外の情報は
得られなかった。本当は迷惑になるのでかけたくなかったけれど、仕方な
く電話するも(曜日、時間を変えて何度も)結局”1度も”受話器が上がる事
は無かった。よって不安を抱えたまま。
2.お店の場所の確認。→ぽた家のレポートは勿論、地図ソフトも参考にして
大体の場所は把握する。しかしその前に寄る予定の野尻湖から黒姫へ行く
道がアップダウンがどれ程なのか判らず不安のまま。
3.11時30分開店の2時間前に到着の目標。せっかく行っても41人目だっ
たりしたら泣くに泣けない。では2時間の待ち時間をどう過ごすか?最近
本もロクに読んでいなかったなぁ〜、と思い図書館で文庫本(軽いから)を
借りて準備。ダーにも前夜のうちに、雑誌を買っておいてもらう。
余.本当はぽた家の様に、秋の新蕎麦の時期にあわせて行くのがベストなので
しょう。しかし”蕎麦素人”のきさ家が貴重な新蕎麦を味わうのは聖地を荒し
に行くようで気が引けた。あくまで”高原の夏を楽しむイベント”の域なのだ。
<今日の予定>
1.朝6時〜8時半で野尻湖一周。野尻湖〜ふじおかまでは1時間の予定。
2.午後1時前にふじおか出発。食後は黒姫高原コスモス園へ。
3.県道37号経由で霊仙寺湖へ。「アリコルージュ」でおやつ。
4.JR信州本線・牟礼駅へ。黒姫まで輪行で戻る。
<実際の行動>
朝5時前から目が覚める。そりゃあ当然、やっとこの日がやって来たんだから。
窓の外に目を向けると、真正面に黒姫山の姿が望めます。よ〜しっ!お天気も
味方してくれます。いそいそと身支度を終えた頃にダーも目を覚まし、折角の
気持ちの良い気候なので”道の駅・しなの”のベンチでパンを食べようとして
いたら・・・
何だか凄い自転車が止められています。後ろのナンバープレートの様に見える
場所には「日本一周中・HP毎日更新!!」って書いてあります。思わずダーと
顔を見合わせ、そして隣のベンチでラーメンを食べている青年に声を掛けました。
この自転車のご主人様・中村さんは、自転車で旅をしながら100名山登山まで
しちゃおうってパワフルなお方なのでした。ダーがザウルスを取り出して、早速
HPを探します。”日本一周””自転車”で検索すると、すぐに発見。
きさ家も自転車であちこち出かけているんですよ〜とお伝えすると、嬉しそう
なお顔です。急いで自転車をデリカ号から取り出して、一緒に写真も撮って頂
きました。こんな偶然の楽しい出会いが有るなんて・・・嬉しいね。
山のお天気はクルクルと変わって、先程まで雲に覆われていた黒姫山と妙高山
が姿を見せてくれました。写真の山・黒姫山に「今からこの山の向かって右側の
お蕎麦屋さんまで行くんだ〜!待っててよ!」と密かに呟きます。
沢山お喋りを楽しんで、ふと気付くと時計はもう7時!ありゃりゃ〜野尻湖1周
は無理かも。でも湖までは行ってみたいね、という事できさ家が先に出発。
またどこかできっとお会いできる、きさ家もそんな気がしてます。>中村さん
元気よく出発したものの、いきなりブルーな気分に襲われます。国道18号では
なく少し北側の道から野尻湖を目指そうとしたのですが、道が見つからないの
です。結局下ってきた坂をまた上るのです。あ〜イヤイヤ!坂キライ!
18号に出て、野尻湖まで下っていきます。まだひと気の無い「ナウマンゾウ
博物館」の前で写真だけ。ナウマンゾウって小ちゃいのね〜(笑)
遊覧船やボートのある岸から、反時計回りに走ってみました。湖畔にはステキ
な別荘が並んでいます。ずっと前に軽井沢から宣教師さんがこちらに移って来
た事もあって、外国人の方の別荘が多い!豪華さは無いものの、雰囲気が有る
ホンモノの別荘って感じです。
しばらく進んだ所で、道は湖畔から離れて山に向かって行きます。ここであっさ
りUターン。このあとのことを考えると無理はできません。ゆっくり景色を楽し
みながら引き返します。
なんだか写真だと今にも雨が降りそうですが、空の他の部分は明るいので心配
は無さそうです。雲がどんどん空に吸い込まれていく様は神秘的です。湖の水
も湖底の石がはっきり見えるほどの透明度です。この桟橋はコンクリート製で
したので、バーディたちを先端まで連れて行ってしまいました。木製の桟橋に
は皆”立ち入りご遠慮ください”って書いてあります。
湖の入り口に戻ると、先程見つけたお店の開店時刻です。何のお店?それは
モチロン決まってます!でも店の前まで来てみると、まだ開いていません。中
に人の気配もありません。立ち尽くしていると、背後から先程道で追い越した
女性がこちらに走ってきます。そして大急ぎで開店の用意をして下さいました。
「ぼーしや」は野尻湖キャンプ場の近くで以前から営業されているケーキとパン
のお店ですが、観光客の多いこちらにも支店を構えたようです。しかも支店は
嬉しい事に朝8時半から(本店は夏季10時から)営業しています。
残念ながら”リンゴ&アーモンドのタルト”だけしか用意できないとの事でし
たので、お土産用売り場の”クランベリークッキー”もテーブルに広げちゃい
ました。ホワイトチョコチップとオートミールが入っていて、食べ応えの有る
クッキーです。この先のことを考えると、たっぷり食べても大丈夫でしょ。あ、
後ろのシナモンロールとメロンパンは明日のためのモノです。念のため。
リンゴがたっぷり詰ったタルトも平らげると(クッキー半分は非常食として持
ち帰り)いよいよ「ふじおか」へ向かいます。嗚呼、試練の始まりだ〜
待つまでも無くすぐに最初の試練はやってきました。用意してきた地図は、主
要な道以外は省略されていて、実際の光景とは一致しません。本当にコッチで
いいの?しかもその道はダートだし・・・(聞いてないよ!)ダーの「今度GPS
買おう。」の言葉に、こんなトコだと判っていたら買ってから来たよ〜(いや、
判っていたら来なかったかも)いま目の前にあったら、即買うのにね。
おっかなビックリそのダートの道を入って行くと、すぐに舗装路になって一安
心、と思いきや下り坂(ぎゃ〜位置エネルギーもったいない!)になりました。
そしてその先には小さな池、睡蓮の花が水面に揺れています。けれども きさに
は、花を愛でる余裕が無いのです。”道は有っているのか?間に合うのか?”
その事ばかりが気懸かりで仕方がないのです。

けれどもダーがベルを鳴らしました。ターンをして池を見ると、たくさんの花
が咲いています。自生の睡蓮を、こんなにも数多く咲いているのを見る機会は
そうそう無いでしょう。通り過ぎないで良かった。
するとその先に、また分かれ道が有りました。今度もどっちに行ったら良いの
か判りません。コテージの利用者の為の案内図はあるのですが、それでは黒姫
高原へ抜ける道がどれなのか判らないのです。ダーが通りがかりの人に道を尋
ねて、先を走ってくれました。
その道はコテージが並ぶ山の中を越えるものでした。玄関先から「大変ねぇ」と
声が掛ります。どうにか笑顔を返すものの、内心は・・・それでもこの道を進めば
間違いないんだ!って判っている状況なので、まだ少しは平気です。
ようやく一山(もちろん山なんてモノじゃなくて、きさの気分で勝手に山に認定)超え
信越本線の線路を越えて、その先がやっと黒姫高原の入り口です。ぽた家の教え
通り”信濃ブルワリー”の幟を辿って進みます。
ゼイゼイ、苦しい苦しい上りが続きます。それでも目印の幟は沢山出ているの
で、安心感は有ります。ペンションが並ぶ道を進みながら、テラスでノンビリと
お茶を飲む人を横目で見ながら(どうしてこんな苦し〜いトコに来ようって思っ
ちゃったんだろう、と思いながら)じっと耐えてペダルを漕ぎます。追い越して行
く車が皆「ふじおか」に向かっている気がしてなりません。自転車で行こう、って
決めたのは自分なのに(こら〜!こっちはこんなに苦労してるんだ!楽々気分で
蕎麦を食べるなんて許さん!>めちゃ勝手な発想)後悔?他の自転車のお友達の
様に、楽しんで上れない事に対する歯がゆさ??解らないけど、進むのみ。
とりあえず次の目標地点は”山桑”バス停です。前方にバス停らしき小屋?が
見えてきました。でも見えるだけでなかなか近づきません。カメの様にノロノロ
としか進まないから仕方がありません。ああ、あと少し・・・え、このバス停は?
”高原ホテル前”じゃん。なに〜まだ先なの!(怒)マジっすか〜!!
さらにノロノロになりながらも”山桑”のバス停まで来ました。左へ進むとコスモス
が待つゲレンデ、きさ家は右へ進みます。この先どこで曲がれば「ふじおか」へ
辿り着けるのかが?地ビールレストランとの分岐点を把握出来ていません。
まだまだ続く坂道の途中に、”信濃ブルワリー →”の小さな看板が出ていました。
ここかな?と思うものの、その道は下り坂。入る勇気が有りません。もし突き進
んで地ビールレストランに辿り着いてしまったら・・・そう思うと下りの道に入る
のが恐いのです。結局そのまま通り過ぎ、更に上ります。
しばらく進んで「やはり先程の所しかない!」と思い返し、ダーにその場に待つ様
に言って、チョッと様子を見に行く事にしました。引き返せばあっと言う間に
先程の小さな看板の前。振り返ると、ダーも後について来てくれてました。
下るのイヤだな、そう思いつつ進みます。でもすぐに見覚えのある分かれ道に
出ました。ぽた家のレポートで見た景色です。ここを左に進めば良いんだ!と
確証を得ます。
そのまま左側の道を進みます。更に凄い下り坂です。確証が無かったら絶対に
進みたくない道です。ぽた家様サマです。安心して下りを進めるのって幸せ〜
じゃんじゃん下って、思わず勢いよく通り過ぎようとした所に”その店”が。
品川ナンバーだったか?車が1台止まっていました。おっ!2番乗り?
でもその期待はすぐに絶望へと変わってしまうのでした。店の入り口に白い紙
が張ってあります。不安的中。あまりのショックに立ち尽くすしか無い・・・・・
火・水曜日が定休日なのですが、木曜日の今日まで休み、と無情な張り紙。
”何で電話に出てくれなかったんだ・怒り”と”せっかく苦労して来たのに・悲しみ”
そして”この後の予定ど〜しよう・困惑”色々な思いが頭の中をグルグル駆け回
ってパニックになりそうです。
店の横のベンチで休んでいると、次から次へと関東ナンバーの高級車がやって
来ます。そしてすぐに皆、がっくりとして帰っていきます。あっと言う間にや
って来て、そしてあっと言う間に去って行きます。
いつまでもココに居るわけには行かないので、黒姫スキー場ゲレンデのコスモス畑
に向かう事にしました。先程の”山桑”まで下ったかと思うと、今度は更にキツイ
上り坂が待っていました。スキー場に行く道なんだから、仕方が無いのかもしれ
ません。もうメーターを見るのもイヤになるほどのノロノロ運転です。
彼方にコスモス畑が確認できる所まで来たとき、そこが一番勾配がキツかった
ような記憶がありますが、もうヘトヘトで覚えてません。黒姫童話館へのシャトル
バス乗り場の日陰のベンチについた時には言葉も出ないほど・・・大休憩。
コスモス畑(有料・300円)の入り口まで来ましたが、駐輪場は見当たりません。
誰もこんな所に自転車では来ないでしょ。駐車場整理のおじさんが面倒くさそう
なのが哀しいよ〜。チョッと味気無いけど、ゲートの前で写真を一枚。この奥は
一面のコスモスの花なんですよ。バーディたちは連れて入れないのが残念。
コスモスはスキー場のゲレンデに広がっています。歩いて廻るにしても、もう
少し休憩してからにしましょ。ソフトクリームのコスモス味(なんじゃそりゃ?)
は食べる気がしなかったので、ゲレンデの隅のカフェでジェラートにしました。
でもこれが美味しくない・・・(泣)カフェからの景色は良かったんだけどね。
今朝居た筈の野尻湖が小さく見えるのです。お〜スゴイぞ!って気分。
やっとコスモス畑の中を散策できる元気が戻ってきました。きさ家がこの地を
訪れるのは2回目です。でもそれはもう大昔の事で、記憶は殆んど無いのです
が。当時はまだ高速道路が松本くらいまでしか出来ていなくて、国道18号を
延々ドライブしたのです。当時も遠いなぁ、って思いましたが、今回は別の意
味でやっぱり遠かった〜でもこの景色は素晴らしいのです。
やっぱりコスモスには”活けて家で楽しむ”よりも”風に揺られる姿”が相応しい
ですね。コスモスは大好きなお花の一つですが、花屋さんで買う気にはなれない
もの。こうして咲き競う様を眺めるていると、やはりココまで来て良かったなぁ
って気分です。そして振り返ると、遠くに野尻湖・・・感慨に耽るのでありました。
さて、もう時計は11時半です。お昼ご飯にしなくっちゃ。でもどうする・・・?
ここまで苦しみながら上ってくる途中に”ランチ・11:30〜”って書かれた
小さなレストランが有った事を思い出しました。そこに行く事にしようと決め、
急降下で発進しかけたところでダーが「ブルーベリーソフトはもういいの?」
そう、コスモス畑の外ではブルベリーソフトの幟を見かけたのですが、園内には
売っていなかった(だから美味しくないジェラートを食べる羽目になった)のです。
「これからゴハンだけどイイの?」でも実際”ご飯よりソフト”が食べたい気分。
ああ、やっぱり食べちゃいました。色があまり綺麗じゃないけど、味はバッチリ。
ブルベリーの爽やかさがおいし〜い!お口直しにピッタリです。隣のテーブルで
出会った”ななちゃん”はとっても甘えん坊で食いしん坊。ママのソフトを半分
食べたくせに、きさの左手のソフトも狙ってるんです。結局パパさんのをおねだ
りしてるチャッカリ屋さんでした。
そうしてやってきたのが「レストラン・桑の実」向かいには御兄弟がペンション
も開いていらっしゃるようです。”ハンバーグに自家製ズッキーニ添え”のランチ
(1種類しかなかった)は、ご飯にも良く合うソースです。自家栽培のズッキーニ
は直径が20センチくらい有りそうな大物(切り分けて使ってあります)で、こん
なに大きいと味はどうかな?と思ったのですが、さすがに新鮮なだけあって苦味
も無くて美味しい♪サラダのキュウリもシャキシャキで美味しかったです。
きさは奥に写っている”ミートソース”を注文しました。メニューの種類が余り
無かった(パスタがあと1種類、あとはカレーくらいだったかな)ので、まぁこれ
にしよう、って気分で頼んだのです。すると出てきたお皿は山盛り。こちらにも
ズッキーニがのってます。さっきソフト食べたばっかりのくせに、美味しいから
って殆んど食べちゃいました。で、残りはダーが平らげたのですが。予定通り
のお蕎麦だったら足りなかったかもしれないね。ランチのデザート・ブルーベリー
&ヨーグルトのアイスクリームは きさが食べちゃいました。(爆)
<ここでミートソースを頼んだ本当の訳>
ミキさんが前に「パスタはレース前のご飯に良いんだよ」って言ってらしたっけ。
まだ今日はこの先、上りも有るんだよね・・・やっぱりしっかり食べておくべき
だよね。そんな事を思い、ミキ先生に習って”いっぱい”食べちゃいました。
ダーは食事をしながらお店の奥さんに「スキー場の標高はどれ位有るのですか」と
尋ねます。奥さんもよく解らないらしく、ご主人が出てきて「はっきり判らないけれど
8〜900メートルくらいかな」と仰る。「これから上るの?」「いいえ、今行って来た所
です」「え?あれで!MTBでも押してる人いるよ」「ですからもう、クタクタです〜」
「麦草は2200メートルって言ってたよね」と、再びダー。「そうだね〜そんな所まで
行っちゃうなんて皆すご過ぎるよね」ランチを食べながら、そんな会話がなされていた
のでした。きさ家には”雲の上の世界”のお話しの様です。
お腹が一杯になって、この後は”直線距離”で8キロ程の霊仙寺湖に向かいます。
「焼きトウモロコシ・200円」の沿道のお店を眺めなら(本当ならば、お蕎麦〜
コスモス〜ソフトクリーム〜焼きモロコシ、の順番だったのに!)泣く泣く通り過
ぎます。またまた少し迷いながら、どうにか県道37号に出られました。
久しぶりに走る見通しの開けた道です。ここから暫くはアップダウンも、迷う
心配も無い道です。右手に飯綱山を眺めながら、トウモロコシ畑や稲穂の波の
横を走ります。陽射しが強いですが、やっぱり”高原の爽やかさ”でご機嫌です。
しかし楽しい気分に暗雲がたちこめてきます。ガイドブックに有った”向日葵畑”
(2年前のだった)が無くなっていし、ダーには仕事の電話(大事じゃなくて良かっ
た)がかかって来るし、そして何より予想よりも早く上り坂が始まっちゃった・・・
次第に道は木陰の中に入っていきます。時折カーブが、そしてガタガタの路面
が苦しい〜。まず立ちはだかった峠(と呼んでいいのか?適切な言葉が無い)
きさ家はバラバラに進みます。きさは先にチョロチョロ漕いで、少し休んで、を
繰り返します。ダーはきさよりもペースは遅いけれど休み無く漕ぎます。下り
になる前で合流して、迷う道でなければ先にダーが下るのが きさ家流。
ここで不思議な事に、きさは苦しいのは確かなのに、どうにか脚が動くのです。
いつもなら何度も休んで進むはずなのに、ゆっくりながらも脚は止まりません。
何でだろう??きっとミキさんの教えどおりに食べたパスタが、効いているの
でしょう。そう思ったら、何とか進める気がしてきました。先程ダーの電話中に
きさ家を追い越していった日本一周サイクリストさん(今朝の中村さんとは別人)
が少し前方の木陰で休んでいます。何とか追いつきたい!一瞬そんな気持ちが
起こりますが、焦らずマイペースで進みます。残念ながら、彼は下りに進んで
行ってしまいました。折角1日で二人も旅人とお話し出来る機会だったのに。
1つ越え、そして次の山道に差し掛かります。霊仙寺湖までの案内看板は沢山
出ているので、迷う心配が無いのも心理的にはかなりの負担減です。何が辛い
って、坂道で道を間違える事ほど苦痛な事って無いでしょう。どんなに坂が続
いても”その先にゴールがある”のなら耐えられそうですが、不安を抱えたまま
で坂道を上がるのは、体力・気分どっちにしてもキツイですものね。
”道に迷う不安の解消”と”パスタパワー”のお陰で、どうにかこいうにか無事
(って事もないけど)霊仙寺湖に到着。観光客で程ほどに賑わっています。
しかしここで最後の難所が!湖畔に在ると思っていたカフェ「アリコ・ルージュ」
は、湖よりも更に高い場所に在るらしいことが解ると、ダーは一気に低気圧。
もう上がらなくてもイイ、そう思っていたところだっただけに、不機嫌になるの
は解ります。でも折角ココまできたんだから付き合ってよ〜
少し休んで、更に坂を上っていきます。するとそこにステキなカフェが。
パラソルの下のテラスで、フルーツパフェを食べました。ケーキも幾つか有り
ましたが、ダーは「アイスコーヒーだけでいい」と。きさもきっといつもならば
こういう辛い坂を走った後は、食欲が無くなってしまう筈なんだけれど、何故
か”食べたいモード”全開。パフェを待つ間も、隣のテーブルのチーズスフレの
美味しそうな匂い(チーズ嫌いのダーには更にキツかったかも)が堪らなく羨ま
しく、パフェを食べながらも、更に出てきたピザをついつい横目で追ってしまうの
でした。
セットで注文したアールグレイが、なかなか出てこなくて少しイライラ。でも
パフェと紅茶で700円だったかな。フルーツもフレッシュの物ばかり使って
あって、値段も良心的、雰囲気も良し。でも次に来るときは車かもね。
再び湖に戻って、やっぱり記念に一枚撮らなきゃね、ってことでバーディたち
を引いて湖畔に連れて行きました。小さな湖ですが、空に浮かぶ雲が心なしか
近くに見えます。湖畔は散歩道って感じで、自転車では無理みたいです。
ここから信越本線・牟礼駅に向かいます。一体どれ位(直線では6キロ)かかるの?
皆目見当もつきません。しかも電車は1時間に1本あるかどうか。でもまだ時間は
3時半前だったし、(たった2つ先の)黒姫駅まで着きさえすれば、デリカ号までは
そんなに深刻な坂はありません。どうにか帰れるでしょう、と出発します。
心配を他所に、牟礼駅までの道程は殆んど下り基調。しかし路面の悪い所、雪
避けのトンネルなど恐い所も有りました。慎重に、慎重に下っていきます。下
りでも見通しの悪い所や、ガタガタ道はスゴク苦手です。まだ舗装された上り
の方が気分は楽かも。ダーはガンガン先に行っちゃいますけどね。
国道18号に出ると、道の状態も良くなって路側帯の幅も広いので、安心して
下りを楽しむ余裕が出てきました。眼下に広がる景色は、先程までの苦労を味
わってこその御褒美ということなのでしょう。ただ1つの不安は、もう上りは
無いんでしょうね?ってことだけ。
でもホントに下りだけで牟礼駅まで着いちゃいました。これは嬉しかったなぁ。
牟礼は天狗の縁の地なのでしょうね。ホームに大きな天狗が鎮座してました。そ
れに霊仙寺湖畔にある日帰り温泉は「むれ・天狗の館」って名前だったし。(この
日の夕方この温泉に入ったのですが、霊仙寺湖と黒姫山の夕暮れ景色は素晴ら
しかったです・もちろんデリカ号で向かえば、あっと言う間に着いちゃいます)
次の電車は30分後、ひと気の無いホームのベンチで”ふじおか待ち”用に持っ
ていた本を取り出します。ページを捲って、フィクションの世界に入ってしま
えばすぐに過ぎてしまう時間です。直江津行の電車がホームに入ってきました。
電車に乗ってしまうと、たった2駅ながらも距離があります。鳥居川に沿う様
に電車は走ります。川の流れは思った以上に速く、明らかに標高が高くなって
行くのを感じます。たった230円で黒姫まで引っ張りあげてくれるなんて、
もう感激モノです。輪行バンザ〜イ!
黒姫駅に降り立つと、ダーが「お腹空いた・・・」駅の麺類スタンドはもう閉まって
いました。自転車を組み立てると、そばに喫茶店?食堂?の暖簾が見えたので
その店に入って早目の夕ご飯です。駅前にある「たんぽぽ」ってお店。
長野だと大概の店で食べられるのかしら?ダーはソースカツ丼です。きさは「少し
時間がかかるよ」とお店の人に言われたものの、先程の「アリコ・ルージュ」での
”チーズ食べたいモード”から抜け出せずにいたので、ピザを注文。予想通りの味
(初めてピザって食べ物に出会った時と同じようなのね)のが出てきて満足。
だんだんと雲行きが怪しくなってきました。食後はどこにも寄り道せずにデリカ
号に向かいます。そして何とか無事に帰ってこられた!そう思った瞬間、あっと
言う間に雨が降り出しました。慌ててデリカ号の後ろのドアを開けて、その下
で自転車を畳みます。ギリギリセーフで無事きこきこ終了。高原の55キロは
走った〜って充足感が有ります。あ、でも最初の目的が果たされて無いんです
よね・・・ふぅ。
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