5月19日(日)
昔マンガやテレビで見た「はいからさんが通る」でヒロインが乗っていた自転車。
そう、前輪がおっきくて、後輪はちっちゃくて、ペダルが前輪のとこに付いて
いる黒い自転車。それを「オーディナリ」って言うそうです。
近所の自転車屋さんのディスプレイで、天井から吊るされていたのを見た事し
か無いし、乗ることなんて出来るのかな?と思っていたら絶好の機会がやって
きました。
愛知県犬山市にある「博物館・明治村」ここは明治時代の貴重な建物を移築した
とても楽しいところです。この春〜秋にかけては「明治の乗り物」をテーマとして
色々な催しが行なわれていて、その中に「明治時代の自転車体験」というイベント
を見つけました。「10分100円」乗ってみたい!
ところで、この「明治村」は山の中に有りまして、行くなら車で行こうかなぁ〜と
考えていたのです。ところが前日の天気予報がやたら良い予報。折角だから、
ちょっと冒険してみよう、という気持ちになりました。
午前10時の開村時刻に合わせて、家を午前6時に出発しました。春日井市の
朝宮公園を目指し、ここから木津用水に沿って北上する事にしました。
まだ5月も半ば過ぎだと言うのに、もう紫陽花の姿を見かけました。対岸を走
っていたのですが、今年最初の花に出逢ったので少し回り道。天気予報はお日
様マークだったハズなのに、どんよりとした空の色。紫陽花は雨を待っている
のかもしれないけれど”きこきこ”には大敵です。
東名高速も越え、小牧市・味岡で木津用水を離れ、ここで交差する名鉄・小牧線
に沿って延びる県道27号にスイッチします。この場所に、以前から気になっ
ていた「料亭・清流亭」が有る事を知りました。この料亭、あるお花の名所として
有名なスポットなのです。1年後までこの日記が続いていれば、その時に。
味岡から少し北へ進むと「田県神社」が見えてきます。ここは・・・ある方面では
かなり有名なのですが、コメントに困るので写真も無しです。「?」と思われた方
は、申し訳ないですがお調べになって下さい。きっとスグ見つかります。
犬山市に入った所で、時刻は8時半を回ったところ。この辺りで休憩を、と良
さそうな喫茶店が無いかな〜と思いながら走っていると、やっぱり有りました。
モダンな佇まいの内部は、ウッディーで大きく取った窓から緑が眩しい店内で
す。コーヒーを注文すると「トーストにしますか?それともサンドイッチに?」と
尋ねられます。なるほど、ココのモーニングは選べるんだ。でも2人ともサンド
イッチにしちゃいました。お値段は350円、標準価格です。食後には清く正し
く「梅昆布茶」もサービスしてもらえます。う〜んノンビリ。
目的地までの距離としては75%到達、但し最後の15%が問題なんだよね。
だんだんブルーになる心、そのキモチを反映したようなドンヨリとした雲。あぁ
大丈夫だろうか・・・
約2ヶ月前に おだあさんと走った五条川に出たところで、右に折れて川に沿って
進みます。すっかり緑の濃くなった桜並木が心地よい木陰を作ってくれます。
今回の企画は「五条川の源を訪ねる」も兼ねて?います。これからひたすら川を
辿って進むのです。明治村へ向かうには少し大回りになりますが、勾配を考え
て少しでも上りやすそうな方向からアプローチすることにしました。
明治村はこの山(尾張富士・標高275メートル)の向こうにあるのです。山の南
側の裾野に沿って進みます。だんだんときつくなる坂、黙々と一番軽いギアで
回しますが、どんどんスピードメーターの表示はゼロに近くなっていきます。
*写真は青空ですが、コレは帰りに撮りました。本当はグレーなのです。

目的地の裏側に位置する「入鹿池」までやってきました。園内の建物も一部望む
ことが出来ます。ここが五条川の始まり。この池は灌漑用の人造池で香川県の
満濃池よりも大きくて日本一なんです。ここで一休みして最後の上りに備えて
息を整えます。右側の写真の右奥にこれから進むのです。
ゆっくりゆっくり、止まっても歩いてもイイや、と思いながら亀の様に這ううち
に、なんとか乗車したまま無事到着。スゴイかも、普通の人は明治村に自転車
では来ないかも。その証拠に、ここには駐輪場が設けていなかったもの。
正門(旧名古屋大学の正門だったんですって)前で記念撮影。よくぞここまで辿
り着いたものだと感慨に耽ってしまう(大げさな!)のでした。休憩スペースに
駐輪させてもらって、いざタイムスリップ!

これが憧れの「じてんちいby山永さん」の自転車だ!思ってたのよりも小さい気
もしますが、こんな自転車に乗れる機会もそうそう無いという訳で早速チャレンジ!
最初バランスを取るのに手間取りますが、すぐに慣れます。ただ曲がるのは大
きくじゃないと無理みたい。本当はこれで園内を”きこきこ”出来たら楽しいの
でしょうが、残念ながら広場の芝生の上だけ。お陰でスピードもゆっくりと。
2台並んだ向こうに見えるの、が先程の「入鹿池」です。だんだん雲行きが更に
怪しくなってきているような。本当に天気予報って大丈夫?あっと言う間に10分間
は過ぎてしまいました。自転車を返した後は「日本最初のアイスクリーム・復刻版」
を食べながら、他の人たちが自転車を乗るのを眺めようと思ったら・・・

受付の建物のガレージの様なスペースには、こんな自転車が!これが理想通りの
オーディナリじゃん!ちゃんと貸し出し用の名札も付いているのに、どういう訳か
この自転車は外には出されていませんでした。きっとこっちの方が、乗るのが
難しくて危険だからかしら?でも折角ならコッチに乗りたかったなぁ〜
まぁ、当初の目的は達成された、という事で、後は村内のんびりと散策しようと
した所、無常にも雨・・・今日は雨具も持ってきていないし、走行中に羽織って
いたウィンドブレーカーも自転車のバッグに入れたまま。仕方が無いので、一旦
自転車まで戻ったり、強雨時に雨宿りしたりでかなりロスしてしまったのでした。
それでも暫くすると何とか雨も収まりかけて、再び観光モード。
これは”旧帝国ホテル”の玄関部分。内部はロビーまで見学できます。帝国ホテル
のクッキーやカレーなんかも売っています(高かったので諦め)玄関前のお庭の池
に重厚な建物が水面に映しだされる演出は、かのフランクロイド・ライト氏ならでは
なのでしょうね。当時の完成披露の折に、関東大震災に見舞われたそうですが、
ほんの少しの補修だけで済んだのだとか。すごいなぁ。
この日のお昼ご飯は、まぁ観光施設の中なので・・・メニューはそれらしく取り
揃えられていました。「ライスカレー」はカレーの王子様並みの甘さ。でもきっと
当時のカレーってコレくらい辛さだったのかもしれませんね。「カツレツ丼」は
デミグラスソースがかけられています。上下の衣の厚さとお肉の厚みが等間隔
でボーダーになっていたのが哀しいかったです。
昼食後も、まだまだ明治村散策は続きます。

ここは大阪府池田市から移築された「呉服座」(くれはざ・って読むんですって)
の中。マス席に座って、ボランティアのガイドさんの説明に耳を傾けます。とて
も楽しい解説振りで「うんうん」と頷いたり「へぇ〜」と感心したりしっぱなし。
途中で舞台内部も見学させて貰いました。いわゆる”奈落の底”に入ってしまっ
た訳です。日に何回か決められた時間の案内の時にだけ、劇場内部のツアーを
おこなっているようです。やはり専門家の案内が有る方が、ずっと楽しく見学
できますね。
午後2時近くになると、すっかり空には青空が。良かったヨカッタ。何が良い
って、きさ家のことよりも村内の教会で結婚式を行なっているカップル(ここで
は3箇所の教会”もちろん文化財のね”で挙式が出来るのです)ちょうど地面も乾
いて、ライスシャワーも大丈夫みたい。静かに教会内に入って、新しい門出を
一緒にお祝いしちゃいました。(来園者も参列OKなの・これもスゴイでしょ)
と〜っても綺麗な花嫁さん&終始デレデレしっぱなしの花婿さんにライスシャワー
で祝福します。本当に夢の様に美しい結婚式なのでした。
たとえどんな日でも、おやつが無しの休日は有りえません、ってことでここは
村内の西郷ナントカ(失礼だね!)って人のお屋敷なんですが、カフェとしても
利用できるのです。きなこ風味のシフォンケーキとスコーン&紅茶です。
お味&値段は許容範囲なんですけど、量が少なすぎる〜!スコーンは小さい
のが1個っきゃない。シフォンケーキも薄〜いの。もっと食べたひ。
陽射しが眩しかった園内も、少しずつ影が長くなってきました。これは重文の
旧三重県庁舎と、右端に見えるのは二重橋にあった飾電燈です。なんだか如何
にも明治村ってカンジ。本当は自転車も連れて入れたなら、写真取るのも尚更
楽しくなるのでしょうね。
もうそろそろ帰らなくては。帰りは名鉄小牧線・羽黒駅から名古屋市内まで輪行
ですから楽々、と思いきや”本日最大の恐怖”が待ち受けているのでした。
復路は尾張富士の北側を回る、勾配のキツそうなルートです。下りだけかと思い
きや、上りもある。ギョエ〜!それより何より途中からの物凄い下り&カーブ!
恐い恐い恐い〜!なのに無常にもダーはどんどん先に消えてゆくのでした・・・
上りの大変さ、を忘れさせてくれるような下りの恐怖。今までで一番恐かった
きこきこなのでした。それでも無事平地に帰還。そこで取ったのが最初の山の
写真なのです。
とにかく目的を果たす事が出来て良かったです。ただ山サイクリングは無理だ
って事は良く解りました。平地専門で居続けたいものです。
羽黒駅から新型車両のガラガラ電車に乗って、上飯田から自走。57キロでした。